「冬」は血管の“天敵”
運動によっても血圧が低下し、血糖や脂質の数値が改善することはよく知られています。筋肉に負荷がかかるような強いレベルの運動のほうが身体に良いと思うかもしれませんが、血管にいいのは「軽い運動」です。
具体的には、毎日30分以上の歩行や、軽い体操で十分。負荷をかけない運動で、血管内に一酸化窒素が放出され、血管が広がって血流が増し、血圧は下がります。
心臓や血管にとって、週1回の強い運動は、毎日の軽い運動には匹敵しません。軽い運動を持続することが重要です。
私自身は歩行を1日8000歩以上、階段の昇り降りを1日計10階分以上、実践しています。そのほか、10分の体操を週4日、4kmのウォーキングを週1回行ない、月に一度は2日間の森林浴をしています。
特に気温が低下するこれからは、「血管にとって危険な季節」なので注意しましょう。
寒さによる刺激によって交感神経が興奮し、ノルアドレナリンやコルチゾールなどのホルモンが放出されます。前者は動脈や細動脈を縮ませたり、痙攣を起こしたりするほか、血液を固まりやすくします。後者は、量が過剰になると血糖値や血圧を上げます。
寒い時に、暖かい場所から急に寒い場所に出ると、血管が痙攣を起こして急激に縮みます。それが、急性心筋梗塞や心不全、脳出血の発症につながることがあります。命に関わる危険があるので、暖かい場所から出る時は厚着をする、脱衣所に暖房器具を置くなどの対策が必須です。
動脈硬化の進み具合にもよりますが、生活習慣を改善し、血圧などの数値をコントロールすることで、80歳でも動脈硬化の進展をある程度抑制することは可能なのです。
※週刊ポスト2022年11月4日号