耳鳴りの種類によって「疑われる病気」は異なる

耳鳴りの種類によって「疑われる病気」は異なる

「ゴー」「ボー」「ブーン」という低音性の耳鳴りは、放置すると厄介なことになるケースがある。前出の望月氏が語る。

「突然モーター音や車のエンジン音、機械音のような耳鳴りがしたら、低音の突発性難聴である『低音障害型感音難聴』や『メニエール病』の可能性があります。メニエール病は発症すると激しいめまいに襲われ、自分や周囲の物がグルグルと回っている感覚になり、吐き気や嘔吐、頭痛などが生じます。こうした症状が出たら1週間以内の受診が望ましい」

 メニエール病は放置すると治療が難しくなり、一生付き合わなければならなくなる。脳や血管に関係する耳鳴りにせよメニエール病にせよ、いずれにしても「片耳から急に聞きなれない音がする」場合は、注意が必要だ。

予防・治療はどうすれば?

 耳鳴りは耳の衰えや全身の不調が原因となるが、予防することはできるのだろうか。前出の坂田氏が語る。

「耳鳴りの予防には、生活習慣の改善が重要です。ストレスなどが原因になるので、睡眠不足にならないように神経が興奮するカフェインやたばこを控える。また、(顎が痛む、口が開かないなどの症状が出る)顎関節症だと顎の開閉が内耳に響いて耳鳴りの要因となるので、顎関節のストレッチや歯ぎしりの矯正をすることでも、将来的に耳鳴りを予防できる可能性があります」

 前出の大河原氏は「耳鳴りはQOL(生活の質)を低下させるため、治療が重要」だと語る。

「耳鳴りは難聴と関わりが深く、聴覚が衰えることで周囲とのコミュニケーションが難しくなります。『無視しているのか』などと嫌な顔をされれば、それがストレスになり、ますますQOLが低下します。耳鳴りは加齢だから仕方ないと放置せず、まずは耳鼻科を受診しましょう。内服による治療で治る場合もあるし、補聴器を使うことなどにより耳鳴りを強く感じないで済むケースもあります」

 健康は耳から。耳の異変に早く気付くことが健康長寿につながる。

※週刊ポスト2022年12月16日号

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