「鈴木宗男はロシアのスパイ、プーチンのポチと言われる。そんなの、冗談ポリバケツですよ!」

「鈴木宗男はロシアのスパイ、プーチンのポチと言われる。そんなの、冗談ポリバケツですよ!」

──その通りで、宗男さん一人だけ、かがんだ姿勢で車に手を振っていた。

「そう、運転手の目線に合わせる。でも、腰を曲げたままだから、腹筋がないと難しいんですよ」

──手の振り方も独特。

「こうです。縦に小刻みなの。よく掌を見せて横に振りますね。あれは、来るな、来るなっていうふうに相手に見える。だから、こう縦に振るんです。一台一台に、よろしくよろしくと4回くらい呼び込んで、一礼する」

──あれは、誰でも職場や家に戻ったら、鈴木宗男の話をしたくなります。

「オレたちのほうを向いてくれたと喜んでもらえます。やっぱり、選挙も、政治も、1分1秒をおろそかにしちゃダメなの」

──しかし、それだけやっても、苦戦する時がある。公民権停止が解消された直後、2017年の衆院選では落選しました。

「失職から7年も出られなかった。それでも、あの時は『新党大地』で22万票も取れたけれど、あと1万8300票ほど足りなかったんです」

──小選挙区ではなく、比例北海道ブロックから。新党大地の単独1位でした。娘の鈴木貴子さんは同じ比例区、自民党の単独2位で3選を決めた。

「たまたま娘も同じになったんです。そうしたら、私の支援者は『センセイ、入れました。貴子さんのために〈自民党〉と書きました』と言うんだ。その影響は少なからずあったと思います」

──政界屈指の全国後援会は機能しなかった?

「おもしろいですよ。初当選から応援してくれた人はなにがあっても離れないんです。ところが、橋本内閣、小渕内閣、森内閣と権力のど真ん中でブイブイだった頃、慌てて近寄ってきた人たちはいるわけですよ。もう、わかりやすい。私が逮捕されたら、蜘蛛の子を散らすように離れました」

──世知辛いですね……。

「いいかげんな人は離れていいんです。全盛期の3分の1は残ってくれていますから、私は全国区で勝負できています」

第3回につづく第1回から読む

【プロフィール】
鈴木宗男(すずき・むねお)/参院議員(維新・当1)。1948年北海道生まれ。拓殖大学在学中から中川一郎氏(農相)秘書。1983年に旧衆院北海道5区で初当選(通算8期)。北海道開発庁長官、官房副長官などを歴任。2002年あっせん収賄罪などで逮捕・起訴。10年実刑確定(懲役2年)で失職・収監。2019年日本維新の会に入り、参院比例区で当選を果たす。

【インタビュー】
常井健一(とこい・けんいち)/1979年茨城県生まれ。ノンフィクション作家。朝日新聞出版を経て、フリーに。数々の独占告白を手掛け、粘り強い政界取材に定評がある。著書に、大宅賞候補作の『無敗の男』(文藝春秋)など。近著『おもちゃ 河井案里との対話』(同前)が講談社・本田靖春賞ノミネート。

※週刊ポスト2022年12月23日号

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