化粧しないのもまた自己表現
「化粧する男」が増える一方、コロナ禍をきっかけに明らかになったのは、女性たちの化粧意欲の低下だ。『AII About』による女性のメイク習慣の調査では「コロナ以前より化粧をしない日が増えた」と答えた人が41.6%にのぼった。
男性向けコスメ市場の拡大ぶりがすさまじい(別掲グラフ)のとは対照的だ。女性はただただズボラになっているのだろうか? 藤村さんは言う。
「というより『メイクは女性の義務』という概念から抜け出している人が増えたんだと思います。メイクをしてなくても、しわがあっても、白髪があっても自分は自分。いつまでも若くてツルツル肌でいなくてはいけないという呪縛から逃れ、成熟してきたといえるのではないでしょうか」
近藤サトは20代から続けてきた白髪染めを卒業し、中村江里子は50才で化粧に時間をかけることをやめた。飯島直子は腫れぼったいまぶたをチャーミングに披露し、高岡早紀も堂々と楽屋でのすっぴん姿をのぞかせる。石田ゆり子も小泉今日子も、すっぴん写真にはいつもナチュラルな笑顔を添えている。
職場でのハイヒール強制着用の禁止を求めた#KuToo運動(2019年)も記憶に新しいが、また一歩、“女性はこうあるべし”という強要からの解放が進んだ例かもしれない。
「そういう意味では化粧なんて男らしくない!と言われていた男性がキレイになろうとするのも同じなのかなと思います。夫や彼が挑戦したいと言ってきたら、ぜひ優しく見守っていただきたいですね」
※女性セブン2023年3月2・9日号