1996年、スウェーデンのストックホルムで開催された「児童の商業的性的搾取に反対する世界会議」では、日本が東南アジアで児童買春の加害者となり、児童ポルノの生産地になっているとして国際社会から強い非難を受けた。このような背景から日本でも法整備が進められ、1999年に海外での犯罪も対象となる「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(児童売春・児童ポルノ等禁止法)」が制定された。
一方で、近年でも依然として加害者は後を絶たない。2019年にはラオスで少女とのみだらな行為を撮影し、児童ポルノを製造したとして、医師の男が日本で逮捕されている。
出生登録率の低さが課題
児童の人身売買の根絶を目指す国際的な非政府組織(NGO)の「ECPAT(エクパット)」の2019年の報告書によると、これまで東南アジアではタイでの児童買春がよく問題視されていたが、近年は取り締まりが強化されてきたことで、法整備が進んでいないカンボジアなどの近隣諸国での児童買春が増えているという。
タイの隣にあるラオスも例外ではない。ラオスの人口は約730万人で、そのうち約3割とされる児童の1割が児童労働を行っている。報告書では児童買春の被害者数を公表していないものの、「貧困家庭や少数民族の児童、ストリートチルドレンが性的搾取の被害者になりやすい」と指摘。観光客が集まるカラオケやバーなどで客引きを行っていると説明している。売春の価格は場所によって違うが、数千円程度とされている。
さらに「ECPAT」は、ラオスにはホテルやレストランなどで児童労働を禁じる法律があるが、「現地で警察に通報したとしても、適切に取り締まりが行われないケースもある」としており、こうした環境が世界から小児性愛者を引き寄せる一因となっているようだ。
また、前出の報告書では、出生登録をほぼ全員が行うタイやベトナムに対し、ラオスは75%と低い水準にとどまっていることから、年齢確認ができず、児童買春の被害に遭いやすくなっているとも指摘。「出生登録は児童買春を防ぐ上で重要な取り組み」としている。