生田市長は4月4日の定例会見で、「今回の問題を報道で指摘され、知らなかったことが多かったことを気づかされた。非常に恥ずかしく、反省している」と語って収支報告書を訂正する意向を示した。
政治資金規正法の趣旨は、政治家(政治団体)が誰からいくらの政治資金を集め、どのように使ったかの資金の流れを透明にすることにある。使途を厳しく制限していない代わりに、資金の流れを明らかにすることで、集め方や使い方が妥当かどうか、国民がチェックできるようにするためだ。
たとえば、政治家が集めた政治資金で銀座で豪遊しようが、ブランド物を買い漁ろうが、「政治活動のために必要な支出だ」といえば禁止はされていない。しかし、使途は公表されるから、“あのセンセイは我々が寄附した金を銀座で使ったのか”と後でわかるようになっている。使途が妥当かどうかは国民個々の判断に委ねられる。
だからこそ、政治資金収支報告書は正確でなければならず、「虚偽記載」などの行為には厳しい罰則が定められている。その政治資金収支報告書の正確性を担保するため、同法は政治団体の会計責任者に重要な責任を負わせている。
具体的には、政治家(政治団体の代表など)や秘書が寄附を受けたり、お金を使った場合は、7日以内に会計責任者に明細書や領収証を提出しなければならない。そして会計責任者は全ての資金の出入りを会計帳簿に記録し、収支報告書を総務大臣ないしは選挙管理委員会に提出する義務を負う。
だから収支報告書には必ず〈この報告書は、政治資金規正法に従って作成したものであって、真実に相違ありません〉という会計責任者の署名捺印入りの宣誓書が添えられている(代表者は宣誓しなくて良い)。
松井氏や寺田氏、生田氏らのように、政党の元代表や大臣、市長という責任ある立場の政治家の政治団体が、資金の出入りをチェックする会計責任者を“名義借り”し、宣誓書への署名・捺印を他人が行なっていた事実は、彼らがこれまで公表した収支報告書の正確性を誰も保証できないということにも繋がる。
◆ジャーナリスト・武冨薫