そのうちAさんの症状はますます悪化。食欲もなくなり、体が鉛のように重くなり、布団から出られない状態に陥った。
「ついには“死にたい”と思い詰めるまでになっていました。たまたま実家に戻っていた娘に病院に連れていってもらうと、うつ病と診断されました。今年の夏は夫と別居し、実家で適温のなか過ごしています」(Aさん)
石原さんによれば、クーラーで室内を冷やしすぎると、外気との温度差で自律神経が乱れるという。
「暑いとき、体は熱を外に放出させて体温を下げるために血管を拡張させて汗をかく。このとき、副交感神経が優位になります。一方、寒いときには血管を収縮させて体温の低下を防ぐために交感神経が優位になる。そのため外気と室内の温度差が激しいと血管の収縮と拡張が頻繁に行われ、その結果、自律神経が乱れてしまいます」(石原さん・以下同)
自律神経が乱れると血液循環のコントロールが正常に働かなくなり、血行不良を引き起こす。それによって冷えやだるさ、疲労感、肩こり、さらには胃腸など内臓の不調が生じる。これがいわゆる「冷房病」「クーラー病」と呼ばれる症状だ。
「自律神経はホルモンバランスや免疫などもコントロールしているため、そうした不調に加え、風邪などの病気にかかりやすくなるうえ、不眠や生理不順などの原因にもなります」
※女性セブン2023年8月10日号