骨粗鬆症による骨折で、寝たきりリスクが一番高いのは大腿骨近位部骨折だ。股関節に近い部分が骨折して痛みがひどく歩けなくなり、死亡リスクも高くなる。次に多いのは背骨が潰れてしまう椎体骨折。複数が潰れてしまうと、だんだん背中や腰が曲がってくる。
「治療は男女とも、ほぼ同じ薬物療法を行ないます。以前はカルシウムやビタミンDなどの骨の材料になるものを服用していましたが、現在は破骨細胞の働きの抑制や新しい骨を作る骨芽細胞を活性化させる薬など、様々な作用機序の薬剤が承認されています」(伊木名誉教授)
ただ骨粗鬆症の薬物治療は効果を実感するまでに時間がかかるため、服用を辞めてしまう患者も──。自己判断で休薬をせず、医師と相談しながら、気長に着実に治療を続けることが改善への近道だ。
取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2023年8月11日号