公益社団法人東京タクシーセンターの表彰による「優良運転者」マーク(時事通信フォト)

公益社団法人東京タクシーセンターの表彰による「優良運転者」マーク(時事通信フォト)

 こうした意見が並ぶが、もちろん異論として〈女性個人タクシー運転手です。乗務員証や事業者乗務証が無くても簡単に運転手の顔写真などは撮影されてしまいます。そして○○タクシーの△△号車の可愛い運転手さん等とアップ出来ます〉といったプライバシーをもっと守る方向に改正すべき、という意見や、運転手に非があるとして〈もっとはっきり表示させる必要がある〉、〈運転手のプライバシー以前に、運転手の責任が問われるべき〉といった反対意見もある。それでも8月1日で「乗務員の氏名掲示義務」は廃止、以前のような実名をさらして走る必要はなくなった。

昔のようには稼げない

「時代が変わったんでしょうね。昔は『近セン怖い』だったのが、『ネット怖い』になった」(前出の個人タクシー運転手)

 彼の言う「近セン」とは「東京タクシー近代化センター」のことで、筆者もこの名前のほうが馴染む。2002年からは現在の東京タクシーセンター、いわゆる「タクセン」となった。簡単に言えば、タクシーの苦情を受け付ける機関である。

「昔はひどいドライバーもいましたからね、それは私もよくわかりますよ」

 確かに昭和の時代のタクシードライバーは今では信じられないような人がいた。筆者の子ども時代も千葉の田舎の話だが入れ墨をシャツからちら見せで雪駄履きのドライバーとか、明らかに酒臭いドライバーとか本当に存在した。もちろん一部ではあるが、ありえないほど遠回りでメーターを稼ぐ、歩行者や自転車にクラクションを鳴らしまくる、「そんな近いとこ歩け」と乗車拒否する、などなど筆者の経験でも1980年代くらいまでだろうか、こうした運転手が存在した。

「いましたね、懐かしい。煙草吸いながらラジオでナイター鳴らしてね、もうあんなのはいませんけどね」

 笑いながら答えてくれたがもっと前、1970年の「タクシー業務適正化特別措置法」以前などは今で言う白タク行為が平然と行われていた。そういう時代からさまざまな改正を経て現在に至るが、ついにあのおなじみの「乗務員の氏名掲示義務」が廃止される。もちろん各事業所の判断だが、多くは施行通り「氏名掲示廃止」となるだろう。

「タクシードライバーになりたいという人も減ってますからね。そっちの対策もあると思いますよ」

 タクシードライバーは年々減っている。先の東京タクシーセンターによれば東京23区と一部多摩地域の法人タクシー運転者数は4万9930人、1970年の統計開始からもっとも低い数字となり、初めて5万人を切った。ずっと下り坂だったがコロナ禍が追い打ちとなった格好で、この国の少子化と人口減でなり手が減っているだけでなく高齢ドライバーが続々と引退といった状態が続いている。

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