それに対してAnswerとして以下の文章がある。これがインフルエンサー氏の引用のメインと思われる。
〈Myth: Rape victims provoke the attach by wearing provocative clothing
– A Federal Commission on Crime of Violence Study found that only 4.4% of all reported rapes involved provocative behavior on the part of the victim. In murder cases 22% involved such behavior (as simple as a glance).〉
挑発的な服装が被害を誘発する、という「神話」(Myth)について引用が提示されている。重ねるが何も難しくはない。中学高校で学ぶ、ごく一般的な単語ばかりの英文である。「provocative behavior」は挑発的行動、挑発的な振る舞い、と訳そうか。behaviorが「行動」、「振る舞い」といった意味の単語であることは義務教育、中学で触れる機会がなかったとしても高校英語を終えていれば、通ったはずの単語である。
それにしても、インフルエンサー氏の引用した〈挑発的な服装が被害の一因〉、どこにあるのか。
この「Google Answers」上のQ&Aには、引用をインフルエンサー氏が訳したと思われる箇所が見当たらないように思う。筆者の辿るリンクが間違っていたり、万が一にもアーカイブの版が違っていたりする可能性もあるため「絶対に見当たらない」とは言わないが、氏のリンク先を見る限りでは〈挑発的な服装が被害の一因〉だとする意味の文章はどこにも見当たらない。「hardly provocative dressers」とあるが、これは「hardly」で打ち消しなので「挑発的な着こなしをしそうにない人」といった逆の意味合いになる。またその前の文に〈Victims range in age from days old to those in their nineties,〉とある。つまり「被害者は生後まもない年齢から90代まで幅広い」ということで、挑発的な服装だから被害にあうという「神話」を否定する内容である。
また〈Most convicted rapists do not remember what their victims were wearing.〉「犯人のほとんどは被害者の服装を覚えていない」ともしている。ちなみに4.4%、22%という数字は「行動」の話であって服装のことではない。
他にも気になる箇所はあるのだが、これ以上は言わない。しかし結論として、この引用はインフルエンサー氏の主張とはまったく逆の調査結果であり、そうした内容のQ&Aだった、ということになるのではないか。
好きなインフルエンサーの発信を鵜呑みにする人たち
なぜ彼がこのような訳し方をしたのかわからないが、中学高校で学ぶ単語ばかりの英文である。もっとも、間違いは誰にだってあるし、ましてや主張するための意図的な発信であるならそういうこと、かもしれないが、いずれにしろ引用は誰もが確認できるレベルの内容であり、ましてや真逆の内容である。