ただ、終末期の延命治療を取り巻く環境は、この数年で変わってきているという。
「医師も、患者のためにならない(治療を行なっても回復の見込みがない)と思えば家族にやめておくよう言うし、最初は『お願いします』と言った家族も、中止を認めるような状況に変わりつつある。家族も医療者も、患者のQOLとは何かについて考えるようになっている」
そうした環境の変化を踏まえ、石飛医師は事前の「家族会議」の重要性を説く。
「自分の人生なんだから、自分の『最期』をデザインしておくべきです。家族や医師らとの話し合いで本人の意思を周りに示して、日本尊厳死協会の『リビング・ウイル(人生の最終段階における事前指示書)』を作成しておけばいい。食べられなくなったとしても、それは終点へ向かって坂を下っていく自然の経過で、最期を迎えるための準備なんです」
石飛医師はすでに自身のリビング・ウイルを作成しているという。そうした準備をするなら、早いほうがいいだろう。
※週刊ポスト2023年9月29日号