日本全国でクマの住宅街への侵入が相次ぎ、その対応について議論が起きている最中、秋田県で男女4人が被害に遭う人身被害が起きてしまった。被害者たちは「耳たぶが裂けてプランプラン」「頭にクマの指が食い込んで……」と、クマの恐ろしさを明かした。
10月9日午前9時すぎ、秋田市の雄物川沿いののどかな住宅街に突如、悲鳴が響き渡った──60代から80代の男女4人が相次いでクマに襲われたのだった。
「クマはツキノワグマで、現れたのは秋田市新屋寿町から新屋南浜町にかけての雄物川沿い。被害者はいずれも散歩中や回覧板を回そうと自宅を出た直後など、逃げる間もなくいきなり襲われている。被害者はいずれも搬送時には意識があり、命に別状はないと報じられていますが、決して軽いケガとはいえません」(地元紙記者)
4人のケガは「後頭部、顎、左肘などに裂傷」「頭部、左肩、左足に裂傷」「左耳、右太ももに裂傷、左腕を打撲」「左後頭部、左腕に挫創」と、クマの鋭い爪は人間の身体などいとも簡単に傷つけられることが窺える。
今回、被害者たちから話を聞くことができた。10日午後、病院から戻ったばかりの80歳男性は自宅の裏庭でクマに襲われた。長く住んでいるが、クマを見たのは初めてだという。
「ちょっと前にテレビのBS放送が映らなくなったものだから、外でハシゴを出して、アンテナをいじっていたんですよ。天気も良かったしね。重い物を持って疲れたものですから、ここ(裏庭)に椅子を出して休んでいたんですよ。9時半頃かな、そしたら後ろから“ダーン”と黒い何かにぶつかって飛ばされて。なにがなんだかわからなくなって。黒い物体はほんの数秒で林のほうに消えて行きました。最初は犬かなと思ったんですけど……」
わずか一瞬の出来事だったが、身体に負ったケガは決して軽くは無かった。男性の身体は包帯だらけで、とくに頭は全体に何重にも巻かれている。
「ぶつかった時に頭を引っ掻かれたようで、血がバーっと出たもんで。クマの一本の指がぐっと深く食い込んだようです。すぐに娘にタオルを持ってこさせて、それから救急車呼んだんです。ぶつかられた肩は痛くて痛くて……でもかろうじて骨折はしていないということで。ただ、頭は明日(10月11日)に病院から呼ばれているので、行ってきます」