小田急といえば新宿と箱根を結ぶロマンスカーや、首都圏の通勤電車として知られる。写真は2018年3月から走るロマンスカーGSE(70000形)(時事通信フォト)

小田急といえば新宿と箱根を結ぶロマンスカーや、首都圏の通勤電車として知られる。写真は2018年3月から走るロマンスカーGSE(70000形)(時事通信フォト)

 2012年に発足した第2次安倍政権は、地方創生を打ち出して地方都市のテコ入れを図った。それから10年が経過し、ようやく地方自治体による地域活性化や産業振興の芽が育ち始めている。

「それまでにも、倉吉市と市民の間で地域活性化のための話し合いはしておりました。その場では、『こういうことに取り組みたい』『もっと魅力をPRしたい』といったアイデアは出るのですが、具体的に何かに取り組むような動きにまでは結びついていませんでした。小田急との協定は”価値創造型人材育成プログラム”という内容です。協定の締結によって、2023年夏には小田急や都市部の企業から約10名の社員が倉吉市を訪れ、市民とのワークショップに参加した。そうした中で、市民が動画などの情報発信についてのノウハウを学ぶ機会を得ることになりました。この連携によって、主に人材育成面で大きな影響があったと感じています」(同)

 こうして市民が主体になって倉吉をPRする動画を企画・制作することに結びついていく。

「プロモーション動画の最終的な仕上げ部分は専門の制作会社に任せることになりましたが、動画の企画・撮影・制作の大部分は実際に市民が関わりました。こうした主体的かつ実践的な取り組みは、これまでになかった動きだと受け止めています。明らかに市民の地域活性化や産業振興におけるスタンスが変わっているのです。協定の効果を実感しています」(同)

自社沿線管外での連携

 プロモーション動画は8本制作され、それらは市民目線で倉吉の生活や観光名所を紹介している。小田急のトレインビジョンで倉吉市のプロモーション動画が流れたのは、そうした経緯があった。

 JR各社をはじめ地元鉄道事業者は、資本力や規模が大きい。そのため、地元では信頼性が高い企業と認識されている。

 また、鉄道事業者の多くは単に鉄道やバスといった交通事業だけではなく、不動産業や小売業、はては農業などにも子会社を持ち、その事業規模の裾野は広い。これらの系列企業が地域経済の牽引役になっていることは珍しくない。これまでも、そうした事情から鉄道事業者が自治体と組んで地域活性化に取り組むことは珍しくなかった。

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