1963年、木曽森林鉄道は1日2回の定期便で山奥へ人も物資も一緒に運び上げていた。木曽森林鉄道は1975年に全線廃止になった(時事通信フォト)

1963年、木曽森林鉄道は1日2回の定期便で山奥へ人も物資も一緒に運び上げていた。木曽森林鉄道は1975年に全線廃止になった(時事通信フォト)

『レールウェイマップル 全国鉄道地図帳』第2版を開くと、日本全国に森林鉄道が図示され、かつての日本は林業が盛んだったことを実感できる。

 また、『レールウェイマップル 全国鉄道地図帳』第2版には、未成線も34路線を収録している。未成線とは、未完成のままになっている鉄道路線のことを指す。

 一口に未成線と言っても、そこには濃淡がある。計画だけで終わってしまった路線もあれば用地買収までされたものの工事が始まらなかった路線もある。また、実際に工事が始まっていたものの何らかの事情で開業できなかった路線などもある。

 計画だけで終わってしまった未成線は無数に存在し、それらを地図に落とし込んでいたら収拾がつかなくなる。どういう基準で、34の未成線を絞り込んだのか。

「未成線を収録する選定基準は、大部分の用地買収が完了している路線もしくは建設が始まっていた路線です。単に計画だけで終わった路線を地図に落とし込んでも、それは想定図になってしまいます」(同)

 昨今、地図はスマホで十分という人は多いだろう。スマホは持ち歩きやすく、検索で簡単に目的地を探し出せる。グーグルストリートビューなら、周辺の景色を写真で確認することもできる。そうしたネット上の地図の利便性を否定するものではないが、『レールウェイマップル 全国鉄道地図帳』は単に現在地を確認したり、目的地を探たりするだけのモノではない。俯瞰した視点で地図を眺めることで、全国各地の歴史・暮らしぶり・産業といった地域の盛衰をも読み取ることができ、路線の成り立ち過程についても窺い知ることができるのだ。

 パワーアップした『レールウェイマップル 全国鉄道地図帳』第2版は、鉄道ファン待望の一冊といえるが、鉄道ファン以外が手にしても満足できる、クオリティの高い一冊と言えそうだ。本書の発売を機に、鉄道地図ブームが再来するかもしれない。

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