結果的に西武の狙い通りに事が進んだのか──。西武はFA移籍した一昨年の二冠王である山川穂高(32)の人的補償として、ソフトバンクから2018年のドラフト1位である甲斐野央投手(27)の獲得を発表した。
「過去の人的補償はまだ活躍できていない若手か、峠を越えた実績のあるベテランの移籍が主でした。しかし、甲斐野はリリーフで2年連続防御率2点台と安定感抜群で、27歳と脂の乗ったピッチャーです。昨年、山川は女性問題でほとんど一軍出場していない。実質的には1対1プラス金銭のトレードになったと思ってもいいかもしれません」(スポーツライター)
西武は昨年、平良海馬が11勝、高橋光成と今井達也が10勝でいずれも防御率2点台。隅田知一郎も9勝と先発陣が充実している。救援も平井克典、佐藤隼輔、森脇亮介など駒は揃っているが、完投の少ない現代野球ではリリーフは何枚いても心強いだろう。
今回の山川のFA宣言から人的補償決定に至るまで渡辺久信GMの“策士ぶり”を指摘する声もある。
「西武は山川を放出したがっていたという話もある。昨年ほぼ出場できなかった山川は国内FA権取得のために、登録日数があと17日必要だった。しかし、球団はオールスター明けに『故障者特例措置』の適用をNPBに申請し、認められた。西武は女性問題を報じられた山川に無期限の公式試合出場停止の処分を科しており、“故障者”ではない。戦力として考えていたなら、そんな申請はしないでしょう。
しかも、FAした山川に対し、“減俸提示”の残留要請をしている。女性問題による騒動があったとはいえ、引き止める球団の出方としては異例です。渡辺GMはソフトバンクを筆頭に他球団が手を挙げる可能性は高いと見ていたのでは」(球界関係者)