本誌は岸田首相が前回選挙で自分が代表を務める自民党広島県第一選挙区支部から1200万円の寄附を受けて選挙費用に使いながら、残余金約192万円を支部に返金せずに“着服”した問題を報じた(2024年1月1日・5日号)

週刊ポストは岸田首相が前回選挙で自分が代表を務める自民党広島県第一選挙区支部から1200万円の寄附を受けて選挙費用に使いながら、残余金約192万円を支部に返金せずに“着服”した問題を報じた(2024年1月1日・5日号)

 だが、昨年3月13日に提出された雄翔会支部の政治資金収支報告書に添付されている「宣誓書」には、〈この報告書は、政治資金規正法に従って作成したものであって、真実に相違ありません〉と書かれ、会計責任者であるA氏の名前が署名ではなく、印字されており、A氏の姓の捺印もある。

 本人に会計責任者になっている自覚がないとは、どういうことなのか。

 岸田首相の「政治とカネ」を追いかけていくと、A氏は他にも重要な役割を担っていることになっている。

 雄翔会支部の会計責任者に加えて、首相が2021年の前回総選挙後に広島県選挙管理委員会に提出した「選挙運動に関する収支報告書」には、出納責任者としてA氏の名前がある。

 本誌は岸田首相が前回選挙で自分が代表を務める自民党広島県第一選挙区支部から1200万円の寄附を受けて選挙費用に使いながら、残余金約192万円を支部に返金せずに“着服”した問題を報じた(2024年1月1日・5日号)。岸田首相の選挙運動の収支報告書についてはそれ以前にも、宛名のない領収証を大量に提出していたことや陣中見舞いの不記載などが発覚し、昨年10月に報告書の訂正に追い込まれたばかりだ。

 出納責任者であるA氏は対応に追われたはずだが、取材ではそんな様子はなかった。

改めて取材すると態度を一変、「お話ししません」

 質問書を出して後日、改めてA氏を取材すると、態度を一変させた。

「質問書は見たが、説明することは何もない」

──雄翔会支部の会計責任者も、選挙運動費用の出納責任者も覚えがない様子だったが。

「答える必要ないと思うので、お話ししません」

──会計責任者の仕事はしていたのか。

「それはそちらで調べてください。収支報告書に書いてあるでしょうから。それは変更することできないでしょ」

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