そうかと思うと首相は突然、行動を起こす。今回は自らの派閥を解散すると言いながら、他の派閥の存続は認めてしまうという一貫性の無さで、世間からも党内からも不評を買った。勃発する問題には説明責任を前面に押し出し、対処のタイミングが遅れることもしばしばだ。そうして内閣支持率はどんどん落ちていく。首相のやり方や発言が成功しているとは思えないのだ。
仕事の成功を妨げるバイアスに「オプション選好性」というものがある。失敗を避けるために選択肢を残しておきたいと望む心理的傾向だ。早く決断すればいいのに、いくつもの選択肢をあれこれ考え決められないのはこのバイアスの影響らしい。いざ決断した時にはタイミングを逸し、ベストの結果にはならないことも多いという。決断を避けるような言い回しに具体性のない演説や発言、オプション選好性の罠にはまっていると考える。
この日、首相は参院本会議でも施政方針を演説。発言内容は変わらないが、野党からのヤジは違った。首相が「経済、経済、経済」と述べると、野党は「音痴!音痴!音痴!」と3回、合いの手を入れるように連呼。この1年、首相の語尾は変わるのだろうか。