キャストのオーディションは「最終“3次”」まで続いた
今作は脚本が5話まで出来た段階でキャストオーディションを実施した。例年は1話があるかないかの段階でオーディションにするため、選ばれた役者に合わせるようにキャラも変えていくこともあるようだが、今回の場合、スタッフ間でキャラクターのイメージが固まっていた分、難航した。
「『最終“3次”オーディション』まであったんですよ。『最終』なのに『3次』って何?みたいな(笑)。特にヒメノ様役は決まらなくて上堀内監督なんて『俺もう決めてます』って。『誰ですか?』って聞いたら『いないです』って(笑)。
そんな時に村上愛花さんが会場に入ってきたんです。僕らスタッフはテーブルで横一列に並んでいるんですけど、みんな『あれ?これ来たな』って思っている雰囲気が伝わってくるんですよ。でも、それを口にしてしまうと消える感じがして言えない。それでいざ、ヒメノのセリフを言ってもらった時に、上堀内監督を横目に見たら、天を仰いでいるんですよ。どうしたんだろうって思ったら『ちょっと泣いてた』って(笑)」
オーディションで粘った甲斐もあり、それぞれイメージとピッタリのキャストが決まった。主人公のギラ役・酒井大成もセリフを一言発した瞬間に彼しかいないと思ったという。
スーパー戦隊では途中から仲間になり戦隊の一員となる、いわゆる“追加戦士”が登場するのが恒例。その追加戦士であるジェラミーが、実はナレーションとして第1話から“出演”していたというのは鮮烈だった。先の「新キャラ嫌われる理論」を回避するための妙案で、それが見事にハマり、早々に視聴者から受け入れられた。
だが、実は高野の当初のイメージと、池田匡志演じるジェラミーのキャラは違っていたという。
「池田くんは、別にイメージカラーとか伝えてないのに全身白のコーディネートでオーディションに来たんですよ(笑)。僕は、ビジュアルも申し分ない、声も素晴らしい。ただ、演技だけは違うと思ったんです。実はジェラミーはもっとハードボイルドなキャラで『カウボーイビバップ』のスパイクのようなイメージだったんですよ。
でも上堀内監督が演技は現場で変えられるからって。そしたら、結局そのまんまだったんですよ(笑)。衣装も演技もオーディションのときとほとんど変わらない。でも結果的に、それが本当に良かった。カッコつけているんだけど、カッコつけきってない独特な愛嬌があって」