ただ、それは建前に過ぎない。池袋の街並みが時代で大きく変化したことは事実だが、ビックのCMソングの歌詞がそぐわなくなっているわけではない。東が西武で、西が東武という百貨店の位置関係も、高くそびえるサンシャインも健在だ。ただ気になるのは、やはり「東が西武で」という部分だろう。その西武にライバルのヨドバシが進出してくる可能性が高まっているのだから、自社の歌詞に盛り込むのは体裁が悪い。そんな思惑から、新しい歌詞に変えたと受け取れる。
となると、ヨドバシ側の動きも気になる。ヨドバシのCMソングもビック同様に各地域で歌詞は異なっているが、関東広域でのテレビCMでは山手線と中央線が行き交う情景とともに新宿西口駅に本店が所在していることを歌っている。
ビックのCMソングが池袋駅の発車メロディに採用されたことを踏まえると、ヨドバシが新宿駅の発車メロディを打診しても不思議ではない。
ビックもヨドバシも、ともに鉄道を主題に据えたCMソングを制作している。ビックとヨドバシという家電量販店による競争は、鉄道というフィールドでも起きる気配を見せている。