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リコール失職 竹原前市長の政策は市民の意見を反映していた

 鹿児島・阿久根市で行なわれたリコール投票の結果を受けて、竹原信一・市長が失職、2011年1月16日に出直し選挙が行なわれる。
 
 リコール委が活動(リコール実施の署名活動)を始めたのは2010年5月。きっかけは竹原氏が専決を連発して、「市民減税」の実施を決めたことだった。

 その内容は、「市議報酬の日当制」「市長、市役所職員の賞与半減」を行ない、それを財源として「法人市民税減税」「固定資産税減税」「手数料値下げ」などに充てるというもの。

 その目的は、市民の世帯年間平均所得が200万円であるのに対して市役所職員の年収が700万円という、阿久根市の歪な構造の改善である。
 
 そもそも、3月に竹原氏が市報を通じて行なったアンケートで、市民の76.5%が「日当制に賛成」と答えたことが制度改正のきっかけだった。市民が喝采を送った政策に、なぜ市民団体はリコールを起こしたのか。

「われわれは竹原氏の手法に異を唱えてリコールを起こした。彼の政策に反対しているわけではないし、市議や市役所の代弁者などといわれるのは心外です」

 そう川原慎一・リコール委員長は強調するが、「どうやって市政のリストラや減税を実現していくのか」と尋ねると、答えは苦しい。

「竹原氏のやり方は性急すぎる。私たちは時間をかけて市議や役所職員と話し合い、彼らも納得できる解決を目指している」

 反市長派市議の中面幸人氏も、「市議や市職員の給与削減は竹原でなければできないと思われているが、われわれは3年、5年と段々下げていって格差をなくしたいと考えている」と口を揃える。

 だが、「市議や職員も納得できる方法」では、市民減税が頓挫するのは目に見えている。まして、税収(18億円)より市職員人件費(23億円)が多いという状況を、「5年かけて」是正するというのは、市民の求める市政とはかけ離れているといわざるを得ない。

※週刊ポスト2010年12月24日号

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