国際情報

トモダチ作戦支えた通訳自衛官 初仕事は「ガムかまないで」

 SAPIOは東日本大震災と闘う自衛官とその家族、OBたち120名に対して取材を行なった。ここにあるのは、日本人が忘れてはいけない「3.11後」を支えた人々の「奮闘の記録」である。今回は米軍の「オペレーション・トモダチ」を通訳として支えた自衛隊山形地方協力本部の女性予備自衛官の体験を紹介する。

 * * *
 米軍の「オペレーション・トモダチ」を支えた一人が、予備自衛官の阿部美奈子3曹である。夫も自衛官である彼女は、英語が堪能だ。

「予備自衛官になろうと思ったのは、昨年のことです。夫が30年間働いてきたところはどんなところなんだろうと思い、7月に採用され、予備自衛官補になりました。その後、2回訓練を受け、予備自衛官となったのが今年1月。

 それからわずか2か月で震災が起き、招集されました。任務について聞くと、『米軍との通訳です。でも、行ってみないと具体的な内容は分からない』とのことでした」

 仙台駐屯地に入り、初日の通訳をしたのは、なんと“あの人”だった。

「トモダチ作戦を指揮したウォルシュ太平洋艦隊司令官です。でも、私自身は軍隊にあまり詳しくなく、どれほど偉い方か分からなかったので、気後れせずに任務を果たせました」

 同行した自衛隊幹部から最初に通訳を依頼されたのは、こんな内容だったという。“重々承知だと思いますが、避難所で笑顔は見せないでください。それから、チューインガムを噛むのもやめてください”――。

「もちろん司令官も一緒にいたルース駐日大使もそんなことはせず、神妙な面持ちで避難所を回っていました」

 夜は他の女性自衛官と一緒に、仙台駐屯地で寝泊まりしたという。

※SAPIO2011年8月17日・24日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
どんな演技も積極的にこなす吉高由里子
吉高由里子、魅惑的なシーンが多い『光る君へ』も気合十分 クランクアップ後に結婚か、その後“長いお休み”へ
女性セブン
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
『教場』では木村拓哉から演技指導を受けた堀田真由
【日曜劇場に出演中】堀田真由、『教場』では木村拓哉から細かい演技指導を受ける 珍しい光景にスタッフは驚き
週刊ポスト
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン