国内

新エコカーで新車の価格差回収は非現実的と女性FP指摘

 2012年12月期のブランド別新車乗用車販売台数ランキングによると、1位がアクア(トヨタ)、2位にプリウス(トヨタ)、3位ノート(日産)、4位フィット(ホンダ)、5位インプレッサ(スバル)とある。この順位を見ると、依然、コンパクトカーと呼ばれるブランドの人気が高いことが分かる。(社団法人日本自動車販売協会連合会調べ)

 販売台数トップ5にランクインしているアクア(トヨタ)、ノート(日産)、フィット(ホンダ)の3ブランドは、買い物や家族の送り迎えなど日常の足としての便利さや、駐車スペースがコンパクトであること、いずれもエコカー減税が適用されることなど共通点も多く、比較検討されることが多い。

 世界一の低燃費を誇るハイブリッド車のアクア グレードS(トヨタ)、フィットブランドの特徴である室内空間の広さが特徴的なフィット ハイブリッド ベースグレード(ホンダ)。そして、2013年RJCカーオブザイヤーを受賞し、国内自動車メーカーで初めて女性が開発責任者であることも話題になり、昨年8月にフルモデルチェンジして以来ガソリン登録車販売台数1位を続けているノートX DIG-S(日産)の3種類について、購入するとしたら、それぞれどんな違いがあるのか比較してみよう。

 3つのコンパクトカーの本体価格をみると、ノートが149万9,400円(税込み)、アクアが179万円(税込み)、フィットが159万円(税込み)と価格に大きな違いがある。ノートとアクアにいたっては、差額が29万600円と開いている。

 では、3車種の維持費用に違いはあるのか。

 一般的に、日本人の自動車平均走行距離は1万キロ/年と考えられているので、1万キロ走る場合、1年にガソリン代がいくらかかるのかを3車種で試算してみた。ガソリンの価格は148.8円/1L(2013年1月7日付 資源エネルギー庁調べ)としている。

【1年間にかかるガソリン代金】 
※148.8円/1Lで1万km走った場合
※燃費はJC08モード

●日産 ノート 燃費24km/L →6万2000円
●トヨタ アクア グレードS 燃費35.4km/L →4万2034円
●ホンダ フィット ハイブリッド 燃費26.4km/L →5万6364円

 比較するとアクアの燃費の良さが際立つが、この違いに惑わされてはいけないと、家計改善プログラム「家計ブートキャンプ」などを実践しているファイナンシャルプランナーの豊田眞弓さんは言う。

「燃費だけで判断はできません。この3車種を比べた場合、イニシャルコスト(導入費用)の差額が大きいですよね。もっとも高いアクアとノートでは30万円近く違う。差額をランニングコストで取り戻そうとすると、どのくらいかかるのか考えてみましょう」

 上で計算した一年間にかかるガソリン代で、ノートとの本体価格の差額を割ってみた。すると、びっくりするほど長い年月をかけないと、ガソリン代で差額は回収できないとわかった。

【本体価格の差額を燃費で回収する場合】
本体価格差額/ガソリン代の差額/差額を回収できる期間
●トヨタ アクア 
29万600円/1万9966円/14.6年
●ホンダフィット 
9万600円/5636円/16.1年

「車検や税金、保険など色々とありますが、わかりやすく考えるためにシンプルに比較してみました。10万円単位で違うと、取り戻すのは大変ですね。自動車はおよそ10万キロ乗れば耐久年数を迎えると言われています。1年に1万キロ走るなら、乗り続けるのは10年。エコカー減税の適用割合も3車種とも同じですし、ランニングコストで差額を回収するのは難しいですね。

 家やマンションの購入と同じように、自動車という大きな買い物には価格だけではなく“満足”という側面もあるので、コストだけでは決められない面もあります。それでも、住宅の場合は35年ローンを支払い終えても価値がゼロになっていることはあまりないですが、自動車の場合は長期にわたって乗り続けると価値がほとんどなくなります。消費税が上がりそうだからと慌てず、落ち着いて検討してください」(豊田さん)

 ブランド別新車乗用車販売台数ランキングの上位にはハイブリッド車の名が並んでいる。比較したなかで唯一のガソリン車、ノートX DIG-Sは走行場面にあわせてエンジンのパワーを切り替えることで、力強い走りと低燃費の双方を実現するエコ スーパーチャージャー機能を搭載している。

 流行に安易に身をまかせるのではなく、自分の自動車の乗り方と費用について落ち着いて考え、満足がいく買い物をしたい。

関連キーワード

関連記事

トピックス

出廷した水原一平被告(共同通信フォト)
【独自】《水原一平、約26億円の賠償金支払いが確定へ》「大谷翔平への支払いが終わるまで、我々はあらゆる手段をとる」連邦検事局の広報官が断言
NEWSポストセブン
ACジャパンのCMに出演するタレントたちに注目度が高まっている
《フジテレビ騒動の余波》ゆうちゃみはもはや“CM女王”、近藤真彦のチャーミングさが高評価…ACジャパンのCMタレントたちの好感度が爆上がり中
女性セブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
《お嬢さんの作品をご覧ください》戦慄のビデオ撮影で交わされたメッセージ、田村浩子被告が恐れた娘・瑠奈被告の“LINEチェック”「送った内容が間違いないかと…」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
中居の恋人のMさん(2025年1月)
《ダンサー恋人が同棲状態で支える日々》中居正広、引退後の暮らし 明かしていた地元への思い、湘南エリアのマンションを購入か 
女性セブン
大木滉斗容疑者(共同通信)
《バラバラ遺棄後に50万円引き出し》「大阪のトップ高校代表で研究成果を発表」“秀才だった”大木滉斗(28)容疑者が陥った“借金地獄”疑惑「債権回収会社が何度も…」
NEWSポストセブン
プロハンドボールリーグ・リーグH(エイチ)で「アースフレンズBM東京」の選手兼監督を務める宮崎大輔(時事通信フォト)
《交際女性とのトラブル騒動から5年》ハンドボール元日本の宮崎大輔が「極秘再婚の意外なお相手」試合会場に同伴でチームをサポートする献身姿
NEWSポストセブン
2月5日、小島瑠璃子(31)が自身のインスタグラムを更新し、夫の死を伝えた(時事通信フォト)
小島瑠璃子(31)夫の訃報前に“母子2人きり帰省”の目撃談「ここ最近は赤ちゃんを連れて一人で…」「以前は夫婦揃って頻繁に帰省していた」
NEWSポストセブン
ファンから心配の声が相次ぐジャスティン・ビーバー(Xより)
《ジャスティン・ビーバー(30)衝撃の激変》「まるで40代」「彼からのSOSでは」“地獄の性的パーティー”で逮捕の大物プロデューサーが引き金か
NEWSポストセブン
都内で映画の撮影に臨んでいた女優の天海祐希
天海祐希主演『緊急取調室』が10月クールに連ドラで復活 猿之助事件で公開延期になった映画版『THE FINAL』も再始動、水面下で再製作が進行
女性セブン
事故発生から1週間が経過した現在も救出活動が続いている(写真/共同通信社)
【八潮・道路陥没事故】74才トラック運転手の素顔は“孫家族と暮らす寡黙な仕事人”「2人のひ孫の手を引いてしょっちゅう散歩していました」幸せな大家族の無念
女性セブン
亀梨和也
亀梨和也がKAT-TUNを脱退へ 中丸と上田でグループ継続するか話し合い中、田中みな実との電撃婚の可能性も 
女性セブン
水原問題について語った井川氏
ギャンブルで106億円“溶かした”大王製紙前会長・井川意高が分析する水原一平被告(40)が囚われた“ひりひり感”「手をつけちゃいけないカネで賭けてからがスタート」【量刑言い渡し前の提言】
NEWSポストセブン