「大学生になって、それまで抱えていたコンプレックスから離れて、何か自分が輝けるものを持ちたいと。そんな中でダンスを“やりたい”と思うようになって、ダンスサークルに入ったんですが、先生がいるわけじゃない。上手な先輩に『それはどうやるんですか?』と聞いて、少しは教えてもらいましたけど、ほとんど独学。でも与えられる課題をこなしていた18年間だったので、もう縛られるのは嫌だった。だから誰かに期待されるわけでもなく、自分で好きにダンスを作っているのが楽しかったですね。
当時は洋楽なんてわからなくて、単純に自分が好きな曲――『おかあさんといっしょ』の『メトロポリタンミュージアム』や『かっぱなにさま?かっぱさま!』、ポンキッキの『ほえろ!マンモスくん』で踊っていました。4年間『ほえろ!マンモスくん』をやっていたら、“おもしろいね”と言って集まってくれた仲間がいて、そのスタイルがステージでも人気になったんです。そういった自分のスタイルを大切にし続けたことで、NYでの成功に繋がったり、今の自分が作られている面は大きいと思います」
洗練された映像表現力や、マドンナがその世界観を絶賛するパフォーマンスの原点に、『かっぱなにさま?かっぱさま!』や『ほえろ!マンモスくん』があったというのは、なかなかのギャップだ。
「今回の美白美容液『HAKU』のプロモーショナルムービーでは、“HAKU”とメラニンである“KURO”という大きく分けると二つの対比があって、柔らかい・完全な“HAKU”が、まがまがしく・強い“KURO”を包み込みます。“HAKU”の完成された、洗練されたイメージを表現するには、クラシカルなバレエ。また“KURO”の方は、メラニン――太陽の光・紫外線を表す、元気でギラギラした動きとして、ストリートダンスが絡みます。
更に“KURO”陣営で僕の演じたアンダーメラニン――肌の奥底から出てくる存在を、コンテンポラリーなどいろいろなダンス要素を含んだ、地の底から湧いて出てくる動きで表現。そして霧島さんのアクティングを中心としたダンスが、全体の調和を作り上げている。全てのダンス、全ての動き、一つひとつに意味があり、テーマやストーリーを表現しているんです。
こうしたテーマを表現する上で、それを具現化するために、自分にできない動きやフォルムを表現できる人をキャスティングをしたり、水を使った演出をするといった、イメージをより幅広く作ることができる……そういった作業は常に新鮮です」
その作業の中では、女性の敵“シミ”の素である、メラニンとアンダーメラニンとの違いについて調べたり、商品の特徴を理解して、イメージを膨らませるプロセスも楽しんだという。しかしこの作品の1番の見どころは、美白美容液『HAKU』とメラニンの闘いという、目に見えない世界を表現した振り付けや演出だけではない。
「みなさんに見ていただきたいのは、生身のパフォーマンスのすごさです。演出のためにスローモーションなど、映像スピードの面では手を加えていますが、CGは一切使っていません。全て実際に、人間の動きで表現されたものなんです。
今はCGで、ある意味“なんでもできちゃう”部分もありますが、本物の肉体だから表現できる迫力や美しさ……そういったものを感じてもらえると、嬉しいですね」