国際情報

名門大学がないドイツの人材が優秀な理由を大前研一氏が解説

 日本では、ハーバードやケンブリッジなど米英の大学教育を崇め奉る傾向があるが、大学教育・グローバル教育で学ぶべきは、実はドイツの制度だと大前研一氏は指摘する。以下は、大前氏の解説だ。

 * * *
 ドイツの場合、ほとんどすべての大学が国立大学で、日本のような入学試験はない。原則として中学・高校の卒業試験に合格すれば、それが大学の入学資格になって、どこでも好きな大学に入学でき、転校も自由である。だから学生の在学年数や学生の年齢はバラバラで、入学式も卒業式もなく、いわゆる“名門大学”もないのである。
 
 ドイツは青少年による山歩きなどの野外活動「ワンダーフォーゲル」の発祥地だ。もともとの意味は「渡り鳥」で、鳥のように歌いたい、自由でありたいという願いが込められている。つまり、青春時代の教育で最も大切なのは、渡り鳥のように彷徨うことなのだ。
 
 人生とは何なのか? 自分はどういう人生を生きたいのか? 何で飯を食うのか? それを探して見つける旅をするのが大学時代なのである。
 
 その一方で、ドイツはギルド制の名残で現在も職業意識が非常に高いため、高校卒業者の5割くらいは大学ではなくマイスタースクール(職業訓練専門学校)に進んで手に職をつける。だからドイツの人材は、おしなべて優秀なのである。

※週刊ポスト2013年4月26日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
SNSで「卒業」と離婚報告した、「第13回ベストマザー賞2021」政治部門を受賞した国際政治学者の三浦瑠麗さん(時事通信フォト)
三浦瑠麗氏、離婚発表なのに「卒業」「友人に」を強調し「三浦姓」を選択したとわざわざ知らせた狙い
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
昨年ドラフト1位で広島に入団した常広羽也斗(時事通信)
《痛恨の青学卒業失敗》広島ドラ1・常広羽也斗「あと1単位で留年」今後シーズンは“野球専念”も単位修得は「秋以降に」
NEWSポストセブン
中日に移籍後、金髪にした中田翔(時事通信フォト)
中田翔、中日移籍で取り戻しつつある輝き 「常に紳士たれ」の巨人とは“水と油”だったか、立浪監督胴上げの条件は?
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
新たなスタートを切る大谷翔平(時事通信)
大谷翔平、好調キープで「水原事件」はすでに過去のものに? トラブルまでも“大谷のすごさ”を際立たせるための材料となりつつある現実
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
女性セブン