気温の上昇と共に食中毒が気になる季節だが、増えるのは菌だけではない。梅雨の時期から、増殖に注意が必要なもののひとつがダニ。室内にいるダニの約80%といわれる「チリダニ」の増える条件は、気温25~30℃、湿度60~80%――6~8月の平均気温・湿度とほぼ同じ値だという。
文部科学省による平成5~24年度の学校保健統計調査では、アレルギー疾患の児童の割合はここ10年で約2倍に増加している。アレルギーの原因のひとつである、ダニに対する注意やケアはどうしたら良いのだろうか?
まず湿度・温度の管理対策としてはダニの繁殖・活動を防ぐため、天日干しや布団乾燥機で乾燥・除湿を行なうこと。またダニの住処をなくすには、縫い目や針穴からの侵入を防ぐため、通過防止型の製品を使用したり、家で丸洗いできる寝具に換え、定期的な除去をする。ダニアレルゲンの除去方法として、55℃以上のお湯で洗濯し、多めの水で念入りにすすぐ――といった方法がある。
しかし天候が不順なこの季節に天日干しできる時間は限られるし、他の方法も手間が大きい。そんな時に便利なのは、布団専用クリーナーだ。例えば、内臓UVライトでダニなどのアレル物質を照射し、振動パットで布団の奥のダニまで吸引する「レイコップ」は、価格も2万円弱から。ハウスダストの減少率が99.7%と高く、世界24カ国で100万台以上売れているモデルもあるという。
日本橋内科・アレルギー科クリニックの竹内聡美先生は、家の中でダニが1番多いのは「ズバリ“布団”です」と語る。「寝返りを打つときに鼻や口から吸引されてアレルギー性鼻炎の悪化や喘息になる危険性、アトピー性皮膚炎の症状がでることもあります。生活時間のうち、睡眠にあたる約1/3の時間は、常にふとんと触れているという計算になります」(竹内先生)
この他、ソファーや座布団、カーペット・カーテンなどの布製品、畳やぬいぐるみなども、こまめにケアしたいポイント。ダニを増やさないことも大事だが、実はもうひとつ重要なのはその除去。生きているダニだけでなく、ダニのフン・死骸(=ダニアレルゲン)は、アレルギーを引き起こす主要な原因物質といわれているからだ。
「夏場に増えたダニが2~3か月で死に、9月終わり頃にぜんそくが悪化しやすいという傾向があります。夏の間にダニのケアを行うことが、秋のぜんそくの症状を抑えるためには必要です」(竹内先生)