役得といえば官僚が代表だが、民間にもそれぞれの業界に特徴的な“オイシイ思い”がある。ここでは、旅行会社の添乗員がバブル時代に享受していた伝説の役得を紹介しよう。
バブルの頃まで旅行の添乗員は、正社員でも契約社員でもフリーでも、ツアー客が指定の土産物店で買い物をした額の5~10%が自分の収入になった。
オプショナルツアーでも同様のコミッション収入があり、客からのチップも多かった。
「そうした収入で生活が成り立ち、給料は丸々蓄えに回せた」(ベテラン添乗員)
そんな頃、あるヨーロッパツアーに参加した客が総額数億円にも上る超高級ベネチアン・グラスを指定の土産物店で買い、担当添乗員(契約社員)は千万単位のコミッション収入を得た。
あまりに額が大きかったため、問題にされることを怖れ、その添乗員はツアー直後に仕事をやめた。これは、今も旅行業界で語り継がれている「伝説の役得」だ。今、コミッション収入は会社がもらい、添乗員にはネクタイ1本が配られる程度だ。
※SAPIO2013年7月号