国内

食品偽装 日本人の根強いブランド志向を考え直すきっかけに

 全国各所のホテルなどで相次いで露見した食品偽装。不正な表示が横行する背景には、メニュー表示に関する法的な規制の曖昧さに問題があるのも事実である。

 食品の表示を規定するJAS法は、メニュー表記を対象としていないため、今回の騒動を取り締まることができるのは、景品表示法と不正競争防止法になる。前者は行政法で措置命令が出されるのみだが、後者になれば刑事罰が下される。5年以下の懲役または500万円以下の罰金。法人の場合は3億円以下の罰金だ。しかし、流通する商品を対象とした処罰の例はあるが、メニューの表記に対し不正競争防止法が適用された例はほとんどない。

 となれば、景表法で取り締まるしかないのだが、弁護士の川村哲二氏は、その難しさを指摘する。

「問題は景表法の『不当表示』にあたるかどうか。一般消費者に対し、実際のものよりも“著しく優良である”と示し、“優良誤認”させていれば違反となります。たとえばブラジル産の鶏肉を国産のブランド鶏と偽っていた場合などは完全にアウト。ただしバナメイエビを芝エビと偽ったことで、消費者が著しく優良であると誤認したかどうかは断言できません。非常にグレーゾーンが多く、法律的な切り口で語るのは難しい」

 現状はホテルなどの自主規制に頼るしかないのが現状だ。ただし、我々消費者自身がとれる対策もある。「食の安全・安心財団」理事長の唐木英明氏がいう。

「今回の騒動で一つ光明を見出すとすれば、日本人の根強い“ブランド志向”を考え直すきっかけになったことです。一流ホテルだから、ブランド銘柄だからと、それだけで信用するのはリスクがある。

 今後は、飲食店側のメニュー表示の改善はもちろんのこと、客側もブランド物だからと信用しすぎないこと。そうすれば産地や銘柄を押し付ける不自然なメニューは減っていくでしょう」

 ホテルや旅館の格が信用できなくなった今、消費者自身が知識武装するしかない。

※週刊ポスト2013年11月22日号

関連キーワード

トピックス

5月8日、報道を受けて、取材に応じる日本維新の会の中条きよし参議院議員(時事通信フォト)
「高利貸し」疑惑に反論の中条きよし議員 「金利60%で1000万円」契約書が物語る“義理人情”とは思えない貸し付けの実態
NEWSポストセブン
殺害された宝島さん夫婦の長女内縁関係にある関根容疑者(時事通信フォト)
【むかつくっすよ】那須2遺体の首謀者・関根誠端容疑者 近隣ともトラブル「殴っておけば…」 長女内縁の夫が被害夫婦に近づいた理由
NEWSポストセブン
曙と真剣交際していたが婚約破棄になった相原勇
《曙さん訃報後ブログ更新が途絶えて》元婚約者・相原勇、沈黙の背景に「わたしの人生を生きる」7年前の“電撃和解”
NEWSポストセブン
なかやまきんに君が参加した“謎の妖怪セミナー”とは…
なかやまきんに君が通う“謎の妖怪セミナー”の仰天内容〈悪いことは妖怪のせい〉〈サントリー製品はすべて妖怪〉出演したサントリーのウェブCMは大丈夫か
週刊ポスト
令和6年度 各種団体の主な要望と回答【要約版】
【自民党・内部報告書入手】業界に補助金バラ撒き、税制優遇のオンパレード 「国民から召し上げたカネを業界に配っている」と荻原博子氏
週刊ポスト
グラビアから女優までこなすマルチタレントとして一世を風靡した安田美沙子(本人インスタグラム)
《過去に独立トラブルの安田美沙子》前事務所ホームページから「訴訟が係属中」メッセージが3年ぶりに削除されていた【双方を直撃】
NEWSポストセブン
エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
阿部詩は過度に着飾らず、“自分らしさ”を表現する服装が上手との見方も(本人のインスタグラムより)
柔道・阿部詩、メディア露出が増えてファッションへの意識が変化 インスタのフォロワー30万人超えで「モデルでも金」に期待
週刊ポスト
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン