煌めきが華々しくなればなるほど、その裏の闇は深くなるのが常である。中国黒社会の現状について、中国の情勢に詳しい拓殖大学教授の富坂聰氏が指摘する。
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4月13日、中国の主要メディアが一斉に報じたのは貴州省の省都・貴陽市で行われた武器密造・密売グループに対する一斉摘発事件だった。
このニュースで衝撃的だったのは何と言っても映像だ。ズラリと並べられた最新式の拳銃や大型のナイフ、自動小銃などの写真だ。その夥しい量は、すなわち中国社会の抱える闇を象徴しているからだ。
「これだけ大規模な密造・密売グループが存在するということは、すなわち武器の需要がそれだけ多くあるということの裏返し。危険な社会が地下で広がっている証拠です」
と北京の夕刊紙記者も語る。
先月には、前政治局常務委員で現在汚職の容疑で取り調べ対象になっているとされる周永康にからみ逮捕された四川の大物実業家で、同省の政治協商会議の常務委員(地方議会の幹部)でもある劉漢という人物が、実は過去に殺人に関わっていたことが大々的にメディアで報じられた。この劉のアジトに踏み込んだ警察は、備えられていた武器庫を発見、保管されていた大量の銃器を押収している。
地方の有力者は私兵を養い裏で殺人にも手を染め、表と裏の力で地域を支配しているという現在の中国社会が抱える問題がはっきりと知らしめられた。
まさに表と裏が一体化する〝警匪一家〟現象であるが、その地下を支える黒社会がいまどの程度の勢力となっているかについては正確な統計はない。
だが、公安大学の武伯欣教授は最近メディアで「どんなに少なく見積もっても100万人を下ることはない」と発言して話題となった。
これを受けて中国の『新文化報』は4月5日付の記事で、〈黒社会のボスの約4割は不動産業界と深くかかわっていて、約2割は政治家の身分を有している〉とこれもまた衝撃的な事実を明かしているのだ。
記事のなかでは不動産業に次いで黒社会のかかわる割合が高い業界として鉱山が指摘されている。いずれも中国でぼろ儲けのできる業界であり、高い金利で集めた地下マネーが大量に流れ込む荒っぽい業界でもある。