ビジネス

ハーバード教授 サイバーダイン、チームラボ、楽天らを視察

 米国の名門ビジネス・スクールであるハーバード大学経営大学院(以下、HBS)の教授陣18人(教授陣の1割を占める)が3月末から4月初旬にかけて、日本企業の現場視察や経営者への面会を行ったという。

 目的は講義の教材や論文の材料を集めることだが、これほどの規模の来日は長い歴史をもつ同校でも初めてだという。

 詳しい視察内容は極秘とされたが、本誌は彼らが回った企業名を入手した。HBS教授陣はニッポン株式会社のどこに注目したのか。

「テクノロジーと起業」をテーマにHBSが注目したのは、世界初のサイボーグ型ロボット「ロボットスーツ・HAL」を開発したサイバーダインと、「ウルトラテクノロジスト集団」を自称するチームラボだった。

 サイバーダインは2004年に山海嘉之・筑波大学大学院教授が設立したベンチャー企業で、世界からの視察が絶えない。大学発の革新技術であることと新市場の創出という取り組みが評価されたようだ。

 チームラボはプログラマーやロボットエンジニア、数学者、建築家、ウェブデザイナー、CGアニメーターなど多分野のスペシャリストが集うベンチャー企業で、ウェブにとどまらず、さまざまな製品やサービスを作り続けている。

 また、HBS教授陣は日本の医療サービスにも着目した。医療機関の経営コンサルティングや開業支援を通じて「病院本位、経営優先」に風穴を開けているメディヴァ、企業のマーケティング手法を取り入れてがん検診の受診率を向上させたキャンサースキャン、両社の経営者にも面会している。

 HBS関係者に話を聞いた。

「日本の新たな強みであるロボット技術やインターネットを使った医療ビジネスなどに、アメリカの研究者が大きな関心をもっていることは言うまでもない。

 さらに、日本経済が長い眠りから覚めて再生過程に入ったという認識から、アベノミクスの3本目の矢でもある成長戦略にも関心を注いでいます」

 有名企業の中から楽天を訪問先に選んだ理由も、アベノミクスが掲げる「多様性(ダイバーシティ)戦略」の進捗状況を確認するためだったという。楽天の野田公一・執行役員グローバル人事部長はいう。

「英語圏から見れば、『英語が支障なく通じる地域・企業』は魅力的なビジネスチャンスにあふれている。事実、英語公用語化に踏み切って以来、楽天の世界での知名度は急上昇した。

 また、世界からの人材確保という点でも、英語公用化の強みは計り知れない。現在、楽天グループ全体の従業員の約30%は外国人で、楽天本社だけでも10~15%は外国人です」

※週刊ポスト2014年5月30日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
昨秋からはオーストラリアを拠点に練習を重ねてきた池江璃花子(時事通信フォト)
【パリ五輪でのメダル獲得に向けて】池江璃花子、オーストラリア生活を支える相方は元“長友佑都の専属シェフ”
週刊ポスト
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
乱戦の東京15区補選を制した酒井菜摘候補(撮影:小川裕夫)
東京15区で注目を浴びた選挙「妨害」 果たして、公職選挙法改正で取り締まるべきなのか
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
成田きんさんの息子・幸男さん
【きんさん・ぎんさん】成田きんさんの息子・幸男さんは93歳 長寿の秘訣は「洒落っ気、色っ気、食いっ気です」
週刊ポスト
「週刊ポスト」本日発売! 岸田自民「補助金バラ撒きリスト」入手ほか
「週刊ポスト」本日発売! 岸田自民「補助金バラ撒きリスト」入手ほか
NEWSポストセブン