国内

栃木女児殺害 捜査協力した霊能者は犯人の名前を言い当てた

 栃木県旧今市市(現・日光市)の小学1年生・吉田有希ちゃん(享年7)が殺害されて8年半の年月が経ったが、6月3日、事件は急展開をみせる。同県鹿沼市在住の無職・勝又拓哉容疑者(32才)が殺人容疑で逮捕された。

 ようやく犯人が逮捕されたこの事件だが、発生当初は物的証拠に乏しく、迷宮入りも囁かれたほどの難事件だった。そして事件から半年後の2006年8月、手がかりがなく、困り果てた捜査員は、地元で名の知られた、ひとりの占い師・A子さん(49才)の元を訪れていた。A子さんは、初めて警察が訪れた時の様子をこう振り返る。

「8月中旬、まだ暑い日のことでした。栃木県警矢板署の刑事さん2人が、自宅まで来て、“捜査が難航していまして、透視していただけませんか?”って…。彼らは有希ちゃんの写真を持ってきていました。刑事さんは、私の透視能力の話を近所で聞いたみたいで、ぜひ今後の捜査の参考にしたいということで、うちに来たそうです」

 日光市在住のA子さんは、自営業の夫と娘と共にこの地で暮らす主婦でありながら、幼いころから霊感が人一倍強く、地元では、知る人ぞ知る占い師でもあった。彼女は写真を見て手をかざすと、その人が目にした風景や考えていたこと、そして音声がテレビの映像のように、頭に流れこんでくるのだという。そんな彼女の“異能”を頼って、失踪者の捜索や除霊の相談など、日々、全国各地から相談者が訪れていた。

 A子さんを頼った刑事たちも、また、これまでの相談者たちと同じように、“目に見えない力”に一縷の望みをかけていたのだろう。

「地元で起きたあの事件には、私も本当に胸を痛めてましたし、一日も早く犯人が逮捕されることを祈っていたので、自分が何か力になれるのならって、捜査に協力することにしたんです。それから3日間にわたって2人の刑事さんが通い詰め、有希ちゃんの写真をもとに、透視を続けました。有希ちゃんを連れ去った車がどんなルートで移動したか、殺害現場はどこなのか、使用された凶器はなんなのか、この3点を刑事さんは特に知りたいようでした」(A子さん)

 当時、A子さんの透視で見えたものは以下のものだった。

●犯人は26~30才くらいの男性。目がくりっとして特徴的で、ほんの少し釣り目気味。髪の毛は耳が隠れるくらいの長さで、前髪を少し上にあげている。ヒゲはない。
●犯人は「たくちゃん」と呼ばれている。
●犯人が乗っている車は、ステーションワゴンのような形。有希ちゃんを連れ去った後は、日光市内の4車線道路を茨城方面に走り、その後、栃木方面に戻っているのだが、その際に迷走した。途中で、道路沿いの白い公衆トイレにも寄っている。
●車の中で有希ちゃんが泣き出したため、途中、日光市内の山道に入り、朽ちた家屋や廃車、壊れた家電製品、粗大ゴミが捨てられている場所で、有希ちゃんを脇に抱えて地面におろし、刃物で刺して殺した。方角でいえば、日光市内の東の方。刃物は両側に刃がついた特殊なものだった。
●犯人は、有希ちゃんを殺害した後、車の脇でメンソールのたばこを吸っていた。脱がせた衣類や靴は車の後部座席に置き、ランドセルは石を詰めて、どこか池のようなところに沈ませた。遺体は近くの水場で洗ったのか、傷口以外はきれいだった。

「透視で見えた光景について、若手の刑事さんは一生懸命にメモを取っていました。私が見た刃物の幅と、遺体の傷口が一致していると言っていましたね。遺体も洗ったか拭いたような跡があったそうです。そして、県内の地図を見て、どこの道路だろうか、とか、透視で見えた殺害現場の様子に近い場所を、刑事さんは探してくださいまして…。実際、私が感じた方角の市内の山中まで行き、遺留品などの捜索をしたそうです」(A子さん)

 だが、このときは、残念ながら犯人に結びつく物証は出てこなかった。それでも、捜査員は山中の現場で廃屋や家電ゴミなどがA子さんの言った通りの場所にあり、一様に驚いていたという。

 それにしても衝撃的なのは、彼女はこの時点で「たくちゃん」という呼び名を警察に伝えていたことだ。容疑者の名前は“拓哉”であり、目の特徴、髪の毛、髭の有無などもピタリと言い当てている。

 今回、女性セブンがA子さんを取材したのは、勝又容疑者の逮捕後。彼女はすでに報道された勝又容疑者の情報を得たうえで、当時の透視エピソードを改ざんして話しているのではないか。そんな疑問が生じるかもしれない。

 しかし、A子さんがきちんと透視で言い当てていた証拠と証言がある。2007年12月、事件発生から2年目ということで、朝の情報番組『スーパーモーニング』(テレビ朝日系)が、この事件の追跡特集を組んでいた。

 取材の過程で、「捜査員が頼った占い師がいるらしい」という情報を知った番組スタッフは、実際にA子さんにインタビュー。今回、女性セブンに明かしてくれた透視結果の一部を番組に出演し語っているのだ。当時の番組ディレクターがこう証言する。

「あのとき、われわれは改めて、A子さんに透視していただいたんですが、“犯人は『たくちゃん』と呼ばれています”と、はっきり言っていました。だから今回、犯人逮捕の一報が出て、“勝又拓哉”という名前を聞いたときは、腰が抜けるほど驚きました。事件が未解決だった当時、その名前までオンエアすると、事件現場付近の同じ名前のかたたちが周囲に犯人扱いされてしまう危険性もあり、いわれなき差別を助長する、という判断もあって“たくちゃん”と言っているシーンはカットしました」

 さらに、「犯人は正社員ではなくアルバイト暮らし」とか「犯行時の車と今乗っている車は違う」とか、その時の透視で新たに見えてきた情報もあったという。勝又容疑者は無職で、車も犯行時に乗っていたワゴン車は翌年にスクラップにしていたことも今では判明している。

※女性セブン2014年6月26日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

茗荷谷駅から徒歩1分ほどにある『丼太郎』
【牛丼並盛390円】物価高のなか『丼太郎』がチェーン店よりも安く牛丼を提供できるワケ「アルバイトは雇わずベテラン4人で」
NEWSポストセブン
(写真/AP/AFLO)
昭和人間よ、今こそ昭和の「新語・流行語」を果敢に繰り出そう
NEWSポストセブン
大谷翔平の妻・真美子さんの心の拠り所とは(写真/AFLO)
大谷翔平の妻・真美子さん、ロス暮らしでの“心の拠り所”となるのは「GLAY・TAKUROの妻」 家族ぐるみで交流、すっかり心を許し生活全般について相談する関係 
女性セブン
逮捕された川村葉音容疑者(左)と八木原亜麻容疑者(インスタグラムより)
【北海道全裸殺人】被害者の交際相手・八木原亜麻容疑者(20)の知人が語る攻撃的な姿と「中学時代のギリギリ遊戯」
週刊ポスト
車内での上皇さまとの会話を大切にされていた(8月、長野・軽井沢町。撮影/JMPA)
《車椅子2台を搭載可能》宮内庁が14年ぶりに福祉車両を購入、リハビリ中の美智子さま向けに特注か 将来的には上皇さまと揃ってご乗車の可能性
女性セブン
殺人と覚醒剤取締法違反の罪に問われた須藤早貴被告
「ゴム手袋をつけて…」元妻・須藤早貴被告が語った紀州のドン・ファンとの“初夜” 若者口調で感情露わに【裁判員裁判】
NEWSポストセブン
大の里の九州場所前稽古に密着
【大の里「最速綱取り」への道】九州場所前稽古に密着 二所ノ関親方やライバル琴櫻とぶつかり合い、体調不安も一蹴 8年ぶり「和製横綱」誕生への期待
週刊ポスト
デート動画が話題になったドジャース・山本由伸とモデルの丹波仁希(TikTokより)
《拡散された山本由伸の LA ペアルックデート動画》“元カノ”モデル とは「今も自然体で…」新たなお相手「テラハNo.1美女」との“意外な関係”
NEWSポストセブン
松本人志は引退しない
《一方的に頭を下げたわけではない》松本人志が名誉毀損訴を取り下げるに至った「内幕」と入念に準備されたコメント内容
NEWSポストセブン
離婚を発表した菊川怜(時事通信フォト)
《玉の輿婚から8年目の決断》菊川怜、実家に戻り離婚前から見せていた“シンママの覚悟”
NEWSポストセブン
退社後初となるグラビア撮影に挑戦した渡邊渚アナ
元フジテレビ・渡邊渚アナ、8月末の電撃退社後“初グラビア” 今後の活動について「モデル撮影や執筆業など色々と挑戦していきます」
週刊ポスト
六代目山口組の司忍組長。今年刊行された「山口組新報」では82歳の誕生日を祝う記事が掲載されていた
機関紙『山口組新報』巻頭に掲載された六代目山口組・司忍組長の近影、最新号の「編集後記」に滲むヤクザ社会が直面している課題
NEWSポストセブン