ファッションプロデューサーの植松晃士さんが、先日、目撃した“意地悪”に心底腹を立てている。目の前で起こった、妙齢の女性による陰湿な意地悪とは一体どんなものだったのか?
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昔々、『いじわるばあさん』という漫画がありましたが、現代社会に潜む意地悪オバさんは、もっとずっと陰湿です。
場所はとあるレストラン。少々気を使う仕事関係の女性を囲み、うちの若いスタッフ数人とお食事をしていました。そこそこ話は弾んでいましたが、あまり親しくない者同士が集まる会食では、ときおり中途半端な“沈黙の時間”ができてしまいます。
それを埋めようと、わがスタッフが「先ほど、お車のお話をされていましたが、ドライブはお好きなんですか?」と、話題を振ったとたんです。「私、車の免許は持っていないの。残念でした」と言うではないですか。あまりに心ないセリフに、その場が凍りつきましたよ。
こちらが「シャル ウイ ダンス?」と差し出した手を無視したうえ、目の前でシャッターをガチャ~ンと閉められたような衝撃。
それなのにご本人は場を凍らせたことが、とても嬉しかったようでヘラヘラ笑っています。本当に嫌な感じでした。
私が心底、腹を立てたのは、彼女が意地悪のターゲットにしたのが「年齢的にも社会的にも、もっとも立場の弱い人」を狙ったことです。そもそも、その女性…あえてオバさんと呼ばせていただきます…は、以前から高飛車でいい印象が持てませんでした。
うちのオフィスに打ち合わせにいらしたときなども、こちらの仕事とまったく関係ない書類を、「これ、この番号にFAXして。急いで!」と、スタッフに命じ、威張り散らしていたんです。
この話にはまだ続きがあります。会食の終盤で、意地悪オバさんの地位を不動にする発言をなさいました。
「そういえば、○○さんのマンションってすごく眺めがよくて、富士山がきれいに見えるそうですね」と、再び、けなげに話しかけたうちのスタッフに、今度は、「私、富士山のどこがいいのか、全然、わからないわ」と、勝ち誇った顔で言い放ったんですよ。
別に「今日は皆で、朝まで富士山の素晴らしさについて語り明かしませんか」って提案したわけではありません。単に会話の“つなぎ”を提供しただけ。彼女はそんなことは百も承知の上で、話の腰を折り続けたのでした。
このときの私の心情をわかってくださったアナタにだけ、申しあげます。
オバさん、万歳!
※女性セブン2014年7月10日号