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キラキラネーム最大の欠陥は奇抜なことではなく読めないこと

 明治安田生命は12月1日、「2014年生まれの子どもの名前」調査(男女計6754人)の結果を発表した。今年で第26回を迎える同調査の上位には、「個性的な子に育ってほしい」「覚えてもらいやすいように」といった近年の親の願いを反映してか、読み方に戸惑ってしまう名前が多く並んだ。

 男の子1位の蓮は「れん」しかいなかったが、2位の大翔は「ひろと」「はると」「やまと」「そら」「たいが」「たいと」と6通りの読み方があった。女の子1位の陽菜も、「ひな」「ひなた」「はな」「はるな」「あきな」「ひなの」の6通り。3位の結菜は「ゆな」「ゆいな」「ゆうな」、5位の結愛は「ゆあ」「ゆいな」「ゆな」「ゆめ」と、クラスに両方の名前の子がいたら混同は間違いない。

「名前の読み方」のランキングに注目してみると、男の子の1位は「はると」で86人いたが、表記は36種類もあった。陽大、春音、悠隼、陽士、春季、晴歩、陽友、遥歩…すべて「はると」である。一方、女の子1位は「めい」で52人。表記は愛唯、萌衣、芽愛、夢彩、恵生など16種類。

 10万件以上の名付け相談を受けてきた命名研究家の牧野恭仁雄氏(まきの・くにお)はこうした風潮に警鐘を鳴らす。

「最近は愛を『あ』、心を『こ』など漢字の読みを途中で分断するような読み方をさせたり、意味にとらわれない当て字を用いる名前が非常に増えており困ったものです。読みにくい名前をつけたがる親御さんには、『これから苦労しますよ』と忠告するのですが、『ハイハイ、わかってます』と会話を打ち切られてしまいます」

 実は牧野氏自身も初対面の人に名前を正確に読んでもらったことはないという。

「一番困るのはホテルに予約を入れる時です。特に『恭』の字を伝えるのが難しくて、数分かかってしまうこともある。これだけで人に迷惑をかけて生きている実感があります。キラキラネームは珍しかったり奇抜だったりするからいけないのではなく、読めないという欠陥があるから問題なのです。子供に不利益が生じる名前は避けたほうがいいと思うのですが」

「親の心子知らず」ならぬ、「子の心親知らず」か──。

※週刊ポスト2014年12月19日号

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