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「日本の秘宝館の礎を築いた男」は一体どんな人物だったのか

「その名もぉ~、国際ぃ~、ヒホウカン♪」。三重、愛知、岐阜の3県に住んでいる40代以上の人なら、この歌を覚えている人は多いだろう。かつて三重県伊勢市に存在した元祖国際秘宝館のテレビCMソングである。
 
「父はとにかく頭を下げることが嫌いな人間でした。お客さんには来てもらいたいけど、旅行会社や観光バス会社には頭を下げたくない。だから、テレビやラジオで宣伝しまくったんです」

 当時を懐かしむように語るのは、元祖国際秘宝館の創業者・松野正人氏(故人)の次男・松野憲二氏(60)だ。全国の秘宝館の始祖となった同館を作った正人氏とは、一体どんな人物だったのだろうか。
 
 もともと「松野工芸」という社名で貝ボタンの製造販売を営んでいた正人氏はその後、アクセサリー、真珠の販売などで財を築き、1960年代の始めには車社会の到来をいち早く予測。伊勢市にドライブイン「パールクイン」をオープンする。そして、数年後には同じ敷地内に大規模なボウリング場を作る。
 
「父は旅行好きで、世界各地の訪れた先々で性に関する民芸品を買い集めていたんです。これをボウリング場の片隅で展示したのが秘宝館の前身です」(憲二氏)

 1972年4月に元祖国際秘宝館をオープンすると、口コミで噂が広がり大盛況。正人氏も「性学博士」としてテレビ番組『11PM』などに出演し、一躍有名人となった。
 
 この秘宝館でしか見ることのできないぶっ飛んだ展示の数々は、松野氏の信念である「性は生なり」の言葉をあますところなく現出させたもので、中でも「馬の交尾実演ショー」はインパクト抜群だった。
 
「毎日客前で交尾をさせるために発情期の違う数種類の馬を飼育していました」(同前)

 その後、正人氏は鳥羽市と山梨県石和温泉にも秘宝館をオープンさせるなど、1989年に亡くなるまで、新しいアイデアを生み出し続けた。
 
 元祖国際秘宝館は集客力が落ち、性に関する取り締まりも厳しくなってきたことで2007年に閉館。
 
「もし父が生きていたら、”だったら時代に合わせた別の見せ方をしよう”って言い出したと思いますね(笑い)」(同前)

※週刊ポスト2015年2月20日号

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