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分かりやすい表現する高田明氏 「名刺ぐらいのカメラ」と言う

ジャパネットたかた創業者・高田明氏

  テレビ通販の神様といえば、この男だ。ジャパネットたかた創業者・高田明氏、66歳。なぜ高田氏の言葉は消費者の心に響くのか。ノンフィクション作家・佐野眞一氏が、その極意を聞いた。

 * * *
 ジャパネットたかたの現在の主力商品は、大型テレビなどの耐久消費財ではない。例えば、小型掃除機など生活に密着した商品ばかりである。古くなった商品を高値で引き取るリサイクルの発想も、高齢化社会に見合っている。
 
 高田の恐ろしいところは、あの柔和そうな目で日本人の生活が大きく変わるのをじっと見つめ、朴訥な長崎訛りで親切丁寧な説明をしつづけていることである。

「訛りは取ろうと思っても取れませんからね。僕が心がけたのは、自然体でわかりやすく伝えることでした。専門用語は使わない。例えばカメラだったら、“ピント合わせ”じゃなく“距離を合わせる”とかね。ズームという言葉も、遠くのものも近づかなくても撮影できるんですよって」

──それなら誰にでもわかります。

「だから、例えば小さいカメラとは言わない。代わりに名刺ぐらいのカメラと言う」

──掃除機でも、テレビのうしろや階段の隅のホコリをどう吸いとるか、微に入り細を穿って説明する。あれならどんなお年寄りもよくわかる。

「ありがとうございます。僕も長年この仕事に従事して、一番危険なのは伝えたつもりになってしまっていることです。それは通販だけでなく、政治や医療や教育の世界でも起きているんじゃないでしょうか」

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