今夏の甲子園大会の地方予選では、バットをヌンチャクのように振り回す滑川総合高(埼玉)の選手が話題となった。その噂は海を越え、メジャーリーガーにも真似をする者を出したが、高野連は彼に注意を与えた。あくまで「教育の一環」とする高校野球では、高校野球ならではの「ルール」が多数存在する。たとえば甲子園大会で適用されている『高校野球特別規則』や、「周知徹底事項」などにより、以下のように定められている。
●金属バットはツートンカラーは認めない
●大会で使用するユニフォームは1大会1種類(学校名表記が漢字とローマ字の2種類を保有する場合など)
中にはこんなルールも。
●同一イニングでは、投手が一度ある守備位置についたら、再び投手となる以外、他の守備位置に移ることはできない
これは過去、「地方大会で相手打者の左右が変わるたびに投手を何度も入れ替えた監督がいて、高校野球らしくないとルール化された」(高野連関係者)という。勝負に徹することは許されず、過剰なまでに正々堂々と戦うことを求められるのだ。また、ダラダラした動きはご法度。
●攻守交代時、先頭打者、次打者、ベースコーチはミーティングに参加しない
●サインは複雑なものにしてはいけない
●離塁していない走者への遅延行為とみられるけん制はしない
●内野手が投手に返球する時はマウンドまで行かない
2013年には花巻東(岩手)の千葉翔太選手の“カット打ち”が議論になり、「打者が意識的にファウルにすること」も事実上禁止となった。
マナーについてもうるさい。
●本塁打を打った打者の出迎えをしない
●ベースコーチが打者走者の触塁に合わせて“セーフ”のジャスチャーをしない
●投手のウォームアップ時に打席付近に立ってタイミングを測る行為の禁止
●次打者は投球時には低い姿勢でプレーに注目する
●派手なガッツポーズは相手への侮辱につながるので慎む
※週刊ポスト2015年8月14日号