田舎の墓に入っている遺骨を都心の納骨堂や永代供養墓に移したい──そうした「墓じまい」には意外なほど手間がかかるうえ、トラブルになりがちだ。急増するトラブルについて、終活コンサルタントの吉川美津子氏に、Q&A方式でアドバイスをもらった。
【Q】菩提寺に150万円の「離檀料」を求められ、払わないなら埋蔵証明は出せないといわれました。
【A】一般的に離檀料は1回の法要で渡すお布施の2~3倍が相場とされ、高くても30万円程度まで。離檀料が檀信徒契約書に明記されていない限り、寺院は改葬を拒否することはできません。行政書士などに間に入ってもらって手続きを進められます。(吉川氏、以下【A】はすべて吉川氏)
【Q】遺骨の行き先が決まらないので、ひとまず自宅に置いて問題はないでしょうか。
【A】墓じまいには「改葬許可証」が必要になり、埋葬法に従って改葬先を明記しないといけません。自宅を改葬先として申請することも可能ですが、改めて埋葬するときに手続きが煩雑になってしまいます。
【Q】土葬された遺骨が出てきました。誰のものかわかりません。
【A】再火葬する必要がありますが、書類上は氏名欄に「不詳」として手続きを進められます。名前のない骨壺も同じです。
【Q】取り出した遺骨はどうやって運ぶんですか?
【A】自分で新しい墓地に持っていくのが基本です。遠距離の場合は、ゆうパックで送ることもあります。宅配便では送れないので注意が必要です。
【Q】墓石の撤去や処分費用に総額100万円を要求された。相場は?
【A】墓所の解体は1平方メートルあたり8万~15万円が相場です。立地条件によって割高になることもありますが、複数の業者から見積もりを取りましょう。
【Q】父の遺骨を取り出したいが、一緒に入っている内縁の妻の骨は引き取りたくない。
【A】墓の所有権を持つ人がどうするか決められます。父親の遺骨だけ引き取り、内縁の女性を永代供養墓に合祀することもできます。
※週刊ポスト2015年12月25日号