国内

危険が伴う外国人の組織犯罪対策 新米女性刑事の奮闘ぶり

警察署対抗駅伝大会の前日に練習中の江口弓絵さん

 安倍政権が推進する「女性が活躍する社会」。かつては男性社会のイメージが強かった警察でも、働く女性が増えている。なかでも警視庁は昭和21年に全国に先駆けて63人の女性警察官を採用し、今では全警察官の約8.4%にあたる3697人が勤務している。男性に交じり悪と闘う、美しき女性警察官の素顔に迫った。

 東村山署の刑事組織犯罪対策課では、昨年2月に刑事になったばかりの江口弓絵さん(30)が奮闘している。

 小学生の頃に「薬物撲滅キャンペーン」のポスターコンクールに応募したことで、薬物の危険性や恐怖を知った。「社会の悪から人を救う仕事がしたい。正義の味方になりたい」という思いで警察官を志すようになったという。

「現在は外国人による組織的な結婚詐欺の捜査が中心です。相手は外国人なので、言葉も違えば文化も違います。捜査のためには警察官と悟られないように現場に溶け込む必要があり、その時は言葉遣いや服装、動きに工夫が必要なんです。

 彼らは警戒心が強く、視線の動かし方ひとつで警察だと勘付くこともあります。現場では、常に緊張状態を維持しなければいけません」

 時には、江口さんよりも明らかに大きな外国人男性を取り締まることもある。捜査時や逮捕時に危険が伴うと判断されれば、身柄の拘束は男性刑事の助けを借りる。その場合は、被疑者に逮捕状を見せる瞬間を撮影したり、逮捕時刻をメモしたりとサポートに回る。

「女性ということで捜査に制限があって落ち込むこともありますが、“今はまだ勉強中だから!”と自分に言い聞かせ、前向きに考えています」

 刑事になる前の江口さんは、警視庁音楽隊のカラーガード隊(通称MEC)の一員として活動していた。音楽隊の演奏に合わせ、フラッグを振って演技をする隊員で、警視庁の活動を広報する組織だ。

 入庁当時はその存在すら知らなかったという。しかし、最初に配属された交通課時代、先輩に借りたMECのDVDに目を奪われた。「憧れていた警察官らしい仕事とは違うが、これほど都民を笑顔にできるのはMECだけ」と異動を希望。4年半在籍し、リーダーも務めた。

「警察の仕事は幅広いんです。最近は、署対抗の駅伝メンバーに選ばれたので走っています。長距離走はぜんぜん得意じゃありませんが、私、頼まれたら断われない性格なので(笑い)。署から約3km先の公園までの往復を走ってトレーニングしています」

撮影■ヤナガワゴーッ!

※週刊ポスト2016年2月12日号

関連キーワード

トピックス

ハワイ別荘の裁判が長期化している(Instagram/時事通信フォト)
《大谷翔平のハワイ高級リゾート裁判が長期化》次回審理は来年2月のキャンプ中…原告側の要求が認められれば「ファミリーや家族との関係を暴露される」可能性も
NEWSポストセブン
今年6月に行われたソウル中心部でのデモの様子(共同通信社)
《韓国・過激なプラカードで反中》「習近平アウト」「中国共産党を拒否せよ!」20〜30代の「愛国青年」が集結する“China Out!デモ”の実態
NEWSポストセブン
裁判所に移されたボニー(時事通信フォト)
《裁判所で不敵な笑みを浮かべて…》性的コンテンツ撮影の疑いで拘束された英・金髪美女インフルエンサー(26)が“国外追放”寸前の状態に
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《自宅でしっぽりオフシーズン》大谷翔平と真美子さんが愛する“ケータリング寿司” 世界的シェフに見出す理想の夫婦像
NEWSポストセブン
山上徹也被告が法廷で語った“複雑な心境”とは
「迷惑になるので…」山上徹也被告が事件の直前「自民党と維新の議員」に期日前投票していた理由…語られた安倍元首相への“複雑な感情”【銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
アメリカの人気女優ジェナ・オルテガ(23)(時事通信フォト)
「幼い頃の自分が汚された画像が…」「勝手に広告として使われた」 米・人気女優が被害に遭った“ディープフェイク騒動”《「AIやで、きもすぎ」あいみょんも被害に苦言》
NEWSポストセブン
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(時事通信フォト)
《潤滑ジェルや避妊具が押収されて…》バリ島で現地警察に拘束された英・金髪美女インフルエンサー(26) 撮影スタジオでは19歳の若者らも一緒だった
NEWSポストセブン
山上徹也被告が語った「安倍首相への思い」とは
「深く考えないようにしていた」山上徹也被告が「安倍元首相を支持」していた理由…法廷で語られた「政治スタンスと本音」【銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
不同意性交と住居侵入の疑いでカンボジア国籍の土木作業員、パット・トラ容疑者(24)が逮捕された(写真はサンプルです)
《クローゼットに潜んで面識ない50代女性に…》不同意性交で逮捕されたカンボジア人の同僚が語る「7人で暮らしていたけど彼だけ彼女がいなかった」【東京・あきる野】
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(Instagramより)
「球場では見かけなかった…」山本由伸と“熱愛説”のモデル・Niki、バースデーの席にうつりこんだ“別のスポーツ”の存在【インスタでは圧巻の美脚を披露】
NEWSポストセブン
モンゴル訪問時の写真をご覧になる天皇皇后両陛下(写真/宮内庁提供 ) 
【祝・62才】皇后・雅子さま、幸せあふれる誕生日 ご家族と愛犬が揃った記念写真ほか、気品に満ちたお姿で振り返るバースデー 
女性セブン
村上迦楼羅容疑者(27)のルーツは地元の不良グループだった(読者提供/本人SNS)
《型落ちレクサスと中古ブランドを自慢》トクリュウ指示役・村上迦楼羅(かるら)容疑者の悪事のルーツは「改造バイクに万引き、未成年飲酒…十数人の不良グループ」
NEWSポストセブン