このところ、土日ともなれば首都圏のJR各駅の改札付近に長蛇の列が出現している。お目当ては『帰って来たぞ! 我らのウルトラマンスタンプラリー』(今月26日まで・JR東日本主催)だ。並んでいるのは子供や親子連ればかりではない。目立つのは中高年の男性たちの姿。一心不乱にスタンプを押しまくる姿は子供たちの熱量の比ではない。
東は取手から西は西荻窪まで、歴代ウルトラマンや人気怪獣たちのスタンプが山手線や中央線などの65駅に設置されている。60代のある男性は、「65駅すべてのスタンプを押して、『全駅ウルトラ制覇証』を受け取りました」と胸を張る。
「全駅制覇には、通勤時間と休日を合わせて5日かかりましたね。自宅から2時間かけて常磐線の取手駅まで行って、ガッツ星人のスタンプを押したときには思わずガッツポーズをしてしまいました」(同前)
ファンの気持ちを駆り立てるには理由がある。スタンプ用の冊子には怪獣の秘密などマニア垂涎の情報がふんだんに盛り込まれ、「10駅達成」など一定条件を満たすと入手できるオリジナルピンバッジは、配布初日に先着1万名分が品切れしたというから驚く。
1960年代に火がついたウルトラマンブーム、実は「現在進行形」だったのである。
※週刊ポスト2016年3月4日号