ライフ

白内障改善には摂取塩分を1日5g以下にするのが効果的

苦労の多い眼の病気

 白内障は年を取れば誰でも罹る「目の老化病」だ。60代で約7割、70代で約9割、80代ではほぼ100%が発症すると言われている。

 眼球内の水晶体が白く濁ることで視界がかすんだり、視力が低下したりする白内障は、放置すれば失明に繋がる危険性もある。

 水晶体は瞳孔の後ろにあり、周囲の毛様体筋という筋肉の動きによって目のピントを調整している、凸レンズの形をした器官だ。その水晶体を構成するタンパク質の新陳代謝が衰え、酸化や変性を起こすことで白濁化する。眼球に入ってくる光が正常に屈折しなくなり、光が網膜まで正しく届かなくなるのである。

 水晶体の白濁化を起こすのは加齢だけではない。塩分の摂り過ぎが白内障を招くと話すのは「西台クリニック」院長の済陽高穂氏だ。

「欧米の複数の調査結果から、白内障患者の目は、健康な人に比べてナトリウム(塩分)が極端に多いことがわかっています。塩分を多く摂ることで体内のナトリウム濃度が上がり、ミネラルバランスが崩れる。このバランスの変調が、様々な部位の細胞や組織の働きに異常を来すのです。中でも、水分を多く含む水晶体は悪影響を受けやすく、代謝が停滞しやすくなり、その結果、水晶体のタンパク質が変性して、白濁化を起こすと考えられています。

 日本人は1日9~11グラムの塩分を摂っていますが、白内障を改善するには5グラム以下に抑えることが理想です。玄米を主食として、塩分の排出を促すイモやカボチャなどの野菜や果物をよく食べるように心がけることが重要です。普段の食事で使う醤油や食塩といった調味料を、コショウ、レモン、酢などに代え、ショウガやワサビを薬味として使うことをお勧めします」

 この“玄米菜食”の減塩療法で白内障が改善したと話すのが、生田裕司さん(仮名・68歳)だ。

 1年前、視界がぼやけ始め、日中、日射しの強い場所に行くと、目が痛くなるほどの眩しさを感じるようになった。眼科病院を訪れると、白内障と診断された。

「医師からは“濁った水晶体を取り除き、人工レンズを挿入する”手術を勧められましたが、怖くて辞退した。色んな情報を収集していた折、減塩を基本とした食事療法に出会ったのです」

 最近の生田氏の1日の献立は次のようなものだ。朝はヨーグルトとバナナなどの果物。昼はカボチャなどの野菜と豆類を煮込んで作る自家製スープ。夕食は玄米とサラダ、おかずは魚の刺身などが中心。刺身に付けるのは減塩醤油だ。

※週刊ポスト2016年4月8日号

関連キーワード

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン