回転寿司はもはや国民食だ。株式会社オリコンの調査結果(2014年度)により、顧客満足度1位の回転寿司チェーンとしてすっかり認知された『がってん寿司』には、社員全員が寿司を握れる風土がある。さらに、商品の仕入れ力も、同社を語る上では忘れてはならない。
「大きな取り組みのひとつは、オーストラリアのポートリンカーンでマグロの蓄養をしていることですね。ほかには、『面白い商材を見つける』をモットーに、商品部のバイヤーが直接海外で買い付けていることです」(常務取締役・丸山晃氏)
商社などの売り込みを待っていたら、客を喜ばせる独自のネタを開発できない。そんな商品開発力の賜物か。昨秋、バンクーバー産の生銀ダラの握りが並んだのには驚いた。
「チャレンジであっても、ほかの店では出せない『がってん寿司』らしい商材にこだわり、フェアや季節メニューを構成して提供をしています」(前出・丸山氏)
『がってん寿司』の店舗分だけ魚を揃えるには、難しい場合もある。しかし、それならば、ほかのブランドで扱えばいい。
現在、同社は『ダイマル水産』や『磯のがってん寿司』など計6ブランドを展開するが、そこにどんな戦略があるのだろうか?
「『がってん寿司』は、“手の届く贅沢”という位置づけ。そのため、デフレの20年間は逆境にありましたが、今は持ち直し客単価も上がってきました。そこで、ハレの日の需要のために『江戸前がってん寿司』を開発。さらに『ダイマル水産』などを作ることで、各価格帯を全て持つ寿司のデパートになるためです」(前出・丸山氏)
経済状況が変化しても、その時代に合ったブランドが利益を出す計画だ。これができるのも、やはり職人がいる人材力にほかならない。職人が『がってん寿司』の人気と品質を支えているのだ。
※週刊ポスト2016年4月15日号