国内

「日本で一番危険な活断層」と専門家が口揃える大阪・上町断層

 熊本地震の原因とみられる「活断層」は日本中いたる所に潜んでいる。都心でも銀座、築地、月島、四谷、浅草、田端、飯田橋、江戸川、荒川、春日部、熊谷、草加、高崎ほか首都圏の街にも「隠れ断層」が貫いているほか、東海地震が警戒される名古屋を中心とした中部地区でも未知なる活断層の存在が指摘されている。

 そして、多くの専門家が「日本でもっとも危険な活断層」と口を揃えるのが大阪の「上町断層」だ。

 全長42kmのこの活断層は大阪府豊中市から大阪市の中心部を貫き、岸和田市に至る。新大阪駅や道頓堀、通天閣は、その上にあるといっても過言ではなく、梅田や難波といった繁華街のすぐ近くを通っている。

 近代都市の真下に存在する世界でも珍しい活断層だ。上町断層の幅は約300mで、それが一瞬にしてずれると大阪の中心部に落差2メートルの崖が出現するとのシミュレーション結果も出ている。

 淀川には2mの滝が出現し、堤防は決壊。淀川の水があっという間に大阪の街に襲い掛かる。梅田など発達した地下街や地下鉄は濁流に飲み込まれ、鉄道各線や道路も寸断されると想定される。

 2007年に策定された中央防災会議の想定被害報告によれば、上町断層による地震が発生した場合M7.6規模の地震が発生し、死者4万2000人、建物全壊97万棟と予想している。武蔵野学院大学特任教授で地球物理学者の島村英紀氏が語る。

「国は上町断層について『M7.5程度の直下型地震を30年以内に2~3%の可能性で引き起こす』と想定するが、国の算定する発生確率はあてになりません。今回の熊本での地震を引き起こした布田川活断層での地震発生確率は『30年以内で10%以下』という低いものでした。

 政府は毎年地震の危険度マップを発表しているが、『危ない』とする場所で起きたためしがない。海溝型地震の発生はある程度の予測が可能だが、活断層の動きは把握できず、直下型地震は起きてみないとわからないのが実情です」

 政府はあてにならない。いつ活断層による直下型地震が来てもいいように、自身で備えるしかない。

※週刊ポスト2016年5月6・13日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

オフの日は夕方から飲み続けると公言する今田美桜(時事通信フォト)
【撮影終わりの送迎車でハイボール】今田美桜の酒豪伝説 親友・永野芽郁と“ダラダラ飲み”、ほろ酔い顔にスタッフもメロメロ
週刊ポスト
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン