スレンダー美女が流行の服を颯爽と着こなす従来のファッション誌像を覆す、異色の雑誌が反響を呼んでいる。
“ポッチャリ女性”のためのファッション誌『la farfa(ラ・ファーファ)』(ぶんか社)は、2014年3月の創刊以来、世の“太め女性”から熱い支持を得ている。
夏の浴衣特集では、「“力士みたい”なんて言わせない!」と自虐的なキャッチをつけたり、付録が「股ずれ防止ガーター」だったりと、他誌ではあり得ない独自路線がウケているのだ。
こうした悩みは、年齢とともに腹が出てきた男性も同じだ。そんなニーズに応えてか、昨年10月に「男性版」も登場。それが、“ポッチャリメンズ”のためのファッション&ライフスタイルマガジン『Mr Babe(ミスターベイブ)』(ミリオン出版)だ。3月に発売された最新号の表紙にはこんなキャッチが躍る。
〈食べて・食べて・ちょい動く!〉
〈特集!! ポチャリミナル効果をUPする!〉
とてもファッション誌とは思えない。「ポチャリミナル効果」なるものがアップすると謳うメイン特集の〈ワガママボディーの“ポチャイリッシュな春夏スタイル”〉内でも、
〈春色シャツで浮かれポチャ紳士になっちゃいませんか?〉
〈「ポッチャリ」なのに「スマート」は矛盾しないんです〉
〈アイテムを使いこなせば、より体型が際立つ〉
と、我が道を邁進する。
〈オシャポチャリーダーの毎日コーデ「7DAYSポチャメンSTYLE」〉の“リーダー”はなんと芸人の長州小力だ。
異色の雑誌はなぜ生まれたのか。『ミスターベイブ』の倉科典仁編集長が語る。
「私自身もポッチャリなので、世間にもニーズがあるんじゃないかと思ったのが発端です。読者からは『待ってました!』という反響が届いています。デブ=暗い、痩せ体型の方が美しいというイメージをこの雑誌で払拭していきたい」
「ビール腹は美しい」が常識になる時代は来るのか。
※週刊ポスト2016年6月3日号