ライフ

中学で非行、高校2度退学した塾長 人生に回り道必要と語る

人生における回り道の大切さを説く藤岡克義さん

 広島県福山市にある塾「フジゼミ」塾長の藤岡克義さん(40才)は「人生、回り道してもマイナスじゃない」と説く。藤岡さん自身、中学で非行少年になり、高校に進学するも2度中退。19歳で一念発起し、「This is a pen.」から勉強して20歳で大学に進学した。そんな経験をもとに、“普通の道”から外れても再出発できる「再生の希望」を綴った著書『大切なのは「つまずき 寄り道 回り道」小さな塾「フジゼミ」塾長と生徒たちの昨日、今日、明日』が話題を集めている。なぜ人生に回り道が必要なのか? 同書より、一部引用して紹介する。

 * * *
 ぼくは講演で話したり、塾生や塾生の保護者と話すときに、「寄り道や回り道は大切な経験です」と伝えています。それはなぜか。自分自身が、遠回りした人生を歩んだからです。

 中学生で非行の道に足を踏み入れ、高校は2回退学になりました。親元を離れて、働いたり、地元に戻ってきて夕方から朝方まで働くゲーム喫茶の店長をやったり、ずいぶんと同級生たちとは違う道を歩きながら、20歳のときに大学に入学したのです。

 まさか自分が大学に行くなんてことは、中学生や高校生だった頃には考えてもみないことでした。ましてや、希望通りの企業に就職して、そこを辞めて塾を開くなんてこともまったく予想していなかったことです。

 想像もしていなかった未来が、いま現実になっているのは、ぼくが寄り道をしているなかで出会った人たちがいて、つまずいた経験がたくさんあるからだと思っています。大学に行くことができたのも、大学生というこの世で最も自由な身分と時間を謳歌して、就職できて、塾を開くことができたのも、寄り道や回り道をしたから。

 ところが、いまの社会はそんな遠回りが許されないような空気感があるような気がします。子どもたちは、敷かれたレールの上に乗って、義務教育を終了したら、自動的に高校に行って、高校3年間を過ごした後、大学に行く。それが当たり前になっています。なにも考えなくても、さらに言えば、努力をしなくとも入れる高校や、進学できる大学は無数にある。

 自動的に大学卒業まで進めてしまうのではないでしょうか。でも、その先に残るのは、就職難や不安定な職だったりします。いざ大学を卒業してみたら、やりたいことがわからないという子どもも多い。

 将来どんな風になりたいのか、夢ってなにか、大学にはどうして行くのか、どこの大学に行きたいのか、もっともっと立ち止まって考える時間があってもいいはずなのに、それができなくなってしまっているのは、子どもにとってとてももったいないことだと思っています。

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン