長時間座っていても「お尻に優しい」「腰が楽」と、評判のクッションがある。車椅子などの医療・介護用クッションを手がけている「加地」(島根県)が開発した『加地エクスジェル アウルベーシック』(1万4040円)だ。座り心地の秘密は、1995年に自社開発した新素材“エクスジェル”にあるという。
「エクスジェルは、床ずれのリスクを軽減するために開発した、固体と液体の特性を併せ持つやわらかなジェル素材です。固体なのに約20倍まで伸びても元の形に戻るという、驚異の柔軟性が特徴です。クッション素材として使うと、座る瞬間の衝撃をお餅のような優しい弾力で受け止め、お尻に集中する圧力を包み込むように分散させます」
と言うのは、広報の山下直枝さん。座り続けていると、体は無意識に前後左右へのズレを繰り返すものだが、このクッションは人間の微妙な動きにもピッタリと寄り添い、お尻への負担を軽減する。
また、ふくろう(アウル)の形は、体の重みをしっかり支えられるよう、エクスジェルの配置を繰り返し調整しながら、生み出したものだ。
「具体的には以下の3つに配慮しました。【1】ふくろうの目の凹凸を利用し、最も圧力のかかる坐骨部分の衝撃を緩和。【2】目と目の間の窪みで、尾てい骨から仙骨にかけての圧力を軽減。【3】胸元の羽毛部分で、太もも裏を優しく受け止め、通気性もよくしました」(山下さん)
これらの努力は、一日のほとんどを車椅子で座って過ごす人たちの間で、“座り心地がいい”と口コミで広がり評判に。2013年からは、家庭やオフィスで使いやすいように改良した「アウルベーシック」を販売している。
椅子の上はもちろん、座布団代わりに床に直接置いても、座り心地のよさは変わらない、優れものだ。
※女性セブン2016年6月30日号