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飲ん兵衛たちが国際交流 看板もない東日暮里の角打ち

つまみは店で売る乾き物と缶詰だけ。昔ながらの角打ちスタイルだ


 彼ら、酒を愛するつわものたちを仕切っているのが、「仕事柄、利き酒をするんだけれど、それで酔っぱらってしまう。もちろん奈良漬だってだめですね」と、まるで酒が飲めない主人、茂さんなのだから、実に面白い。

 そんなところへ、まるで嘘のように飛び込んで来たのが、観光で来日し、近所に民泊しているというフランス人カップルだ。

「店の前を通ったらマスター(茂さん)と目が合ったので入って来たけど、この店は中でお酒、飲めるんですか?ブラボーだね」と、飲ん兵衛異邦人は、フランス語ではなく、英語を話しながら、つわものたちの輪に加わった。

「こういう外国の人がたまに来てくれるんです。言葉はわからないけど、酒を介すれば結構わかり合えるもので、みんな楽しんでいってくれますよ」

 相前後して現われたのが、向かいの銭湯からの湯上りカップル。「週3回は前の湯につかって、気分が良いまま、ここで飲むんです」(30代、介護福祉士)。そして、この夫人、実は英語が堪能なのだ。

 彼女がこの国際交流?の場に一役買ってくれたのは言うまでもないが、この場を盛り上げるのに活躍した酒が、焼酎ハイボールだった。

「この日本の酒、好きです」と語るフランス人男性。

「出身のモンペリエには角打ちのような文化はないし、こういう種類の酒も知らない。おいしいよ」

 これに答えて湯上りのご主人。

「辛口で飲みごたえ抜群ですよ。適度な冷え具合が、今の僕の喉の状態には最高に合います」

 酒と飲ん兵衛に囲まれた店内で、ただ一人酒が飲めない主人が、彼らを見渡しながら、宣言した。

「息子たちは社会人になり、他所でしっかり働いていますから、この店は私の代でおしまいでしょう。でもね、僕も76歳になりましたが、あと30年はこんな楽しい店を閉めるわけにいきません。100歳のときにまた取材に来てもらおうかな」(笑い)

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