英国のEU離脱による世界経済混乱の影響も受け、史上最低水準を更新し続けている住宅ローン金利。もはや金利タイプは「変動型」「固定型」ともに1%を割り込み、どちらを選択しても金利差がなくなっている。
「だからこそ、これから住宅ローンを借りるなら全期間固定金利型をお薦めします」とアドバイスするのは、住宅ジャーナリストの山下和之氏だ。
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住宅ローンには3つの金利タイプがあります。まず、借入後の金利の動向によって適用金利、返済額が変わる「変動金利型」があり、反対に完済までの金利が確定していて、借入後に金利が変わっても適用金利・返済額とも変わることはない「全期間固定金利型」があります。
さらにその中間的な存在として、一定期間のみ固定金利で、一定期間後にはその時点の金利で固定金利と変動金利型のどちらかを選択できる「固定期間選択型」もあります。
変動金利型は市中の金利に応じて金利を変更できるので、金融機関は常に一定の利ざやを確保できます。金融機関にとってはリスクがないので、金利を最も低く設定しています。では、誰がリスクをとるのかといえば、利用者。借りる人にリスクを押しつける形で、金利を安くしていると考えることができます。
それに対して、全期間固定金利型は借入後に金利が上がっても、返済額が増える心配はありません。でも、その分変動金利型に比べると金利が高くなります。
金融機関にとっては、貸出後に金利が上がっても適用金利を上げられないので、逆ざやになるリスクが大きくなります。そのリスクを負うのですから、金利を高くせざるを得ないのです。利用者にとっては、返済額が変わらない安心がある分、金利が高くなっているわけです。
それがこのところの金利低下局面では、全期間固定金利型の金利低下率が極めて大きくなり、変動金利型との差が縮小しています。ですから、これから住宅ローンを利用する人にとっては、より安全な全期間固定金利型の住宅ローンを借りるチャンスのときですし、すでに変動金利型ローンを利用している人にとっては、より安全な全期間固定金利型の住宅ローンに借り換えるチャンスのときなのです。