国内

日教組非加入教員も日教組DNAに浸かっている現実

日教組的思想はいまだ根強く存在している

 昨年10月に発表された調査結果で、全国での加入率24.2%と過去最低を記録した日教組こと日本教職員組合。だが、4人に1人が日教組教員であれば、ノイジー・マイノリティとして活動可能だという。『日教組』の著書がある教育評論家の森口朗氏が、日教組の「加入率」だけでは見えてこない教育現場の事態をリポートする。

 * * *
 最近では、かつてほど行き過ぎた日教組の思想的な教育が表面化する回数は少なくなってきた。

 2000年代中頃、日教組は男女の性差を取り払う「ジェンダーフリー」のスローガンをもとに児童・生徒に過激な性教育を行うなどして痛烈な批判を浴びた。これを契機に彼らは世間の反応を窺うようになったからだ。その分、ホームルームの時間に子供に「戦争法をどう思う?」とそれとなく聞いたりするなど、水面下で巧妙な指導にシフトしている現実がある。

 さらに、教育現場では日教組の「加入率」だけでは見えてこない、憂慮すべき事態が進行している。日教組などの教職員組合に属さない「非加入」の割合は年々増え続け、昨年は63.7%に上った。ここにこそ、問題が隠れている。

 彼ら「非加入」の教員は、右も左もない「政治的中立」を保った教師であると自認しているだろう。

 しかし、そのうちの少なからずが、戦後長きにわたる日教組教育によって“日教組的DNA”に浸かっているというのが現実なのだ。

 組合には非加入の教員が、たとえば出勤前に朝日新聞を読んでから学校に来るとする。  その教員が、日教組で熱心に活動している同僚から「戦争法反対」と言われたり、安保法反対を叫ぶビラを目にしたりすると、過激な内容に付き合いきれないと感じる。そのことで自らをニュートラルと勘違いしてしまうのだ。

 客観的に見ると彼らの感性は「朝日新聞以上、極左未満」であり、自らの歪みに気づくことはない。それは、教育学部の教授陣や、若いときに赴任した校長・教頭などが日教組的思想を持っていて、その薫陶を受けるからであろう。

●もりぐち・あきら/1960年大阪生まれ。中央大学法学部卒業、佛教大学修士課程(通信)教育学研究科修了。東京都職員として、1995年から2005年まで都内公立学校に出向経験がある。著書に『日教組』『いじめの構造』など。

※SAPIO2016年8月号

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン