暑い夏に無性に食べたくなるアイスクリーム。その市場規模はいまなお伸び続けている。一般社団法人「日本アイスクリーム協会」によると、アイスクリーム類及び氷菓の販売金額は4369億円(2014年度)で3年連続の増加、10年前と比べても2割以上増えている。
アイス市場拡大の牽引役となっているのは、街中の“アイス屋さん”ではなくコンビニエンスストアだ。
同協会が毎年発表している『アイスクリーム白書(2015)』でも、購入場所はコンビニが52.3%とスーパーマーケットに次いで多かったのに対し、アイスクリーム専門店はわずか9.2%という結果が出ている。
コンビニでのアイス需要が伸びている要因は何か。コンビニ業界の専門紙『コンビニエンスストア速報』編集長の清水俊照氏が分析する。
「昔のコンビニは、アイスを売るケースも小さく商品数も少なかったのですが、いまは大手チェーンを中心に、往年のロングセラーブランドから、1個200円を超えるプレミアムアイス、コンビニ独自のPB(自主企画)アイスまで様々な商品が、扉のない大きなケースで年間を通じて発売されています。
そのため、アイスは夏のデザートというイメージが完全に崩れ、冬でも“食後のスイーツ”として定番化しつつあるのです。購入層も従来の若者中心から、近年はシニア層まで幅広くなりました」
いまやアイスはコンビニの売り上げ貢献に欠かせない年間商品というわけだ。それを如実に表すデータもある。清水氏が続ける。
「プレミアムアイスを製造する某大手メーカーの発表では、春夏と秋冬で分けたアイスの売り上げ比率は『61:39』で、ここ数年、秋冬の伸びが凄まじいといいます。また、平均単価も春夏より秋冬のほうが10円高いため、各メーカーは夏に売れるアイスよりも、むしろ品質を高めて寒い時期に食べてもらうスイーツ感覚の商品開発に力を入れているといいます」
そんな状況下で、ますますシェアを奪われているのがアイス専門店だ。