コラムニストでデイトレーダーの木村和久氏が、近頃気になるニュースをピックアップし独自の視点で読み解きます。今回は、東京オリンピックの会場問題に注目。
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小池東京都知事になってから、東京オリンピックの会場問題も再検討する動きとなり、俄然面白くなってきました。
現在、課題となっているのは、いかに出費を抑えてコンパクトにまとめるかです。急きょ浮上したのは、ボート・カヌー競技を、お金のかかる東京湾から、すでに出来上がっている宮城県の長沼ボート場に移す案です。出費は少なくて済みますが、会場を都心部にする、コンパクトポリシーに反するというわけです。
そこで、抱き合わせといってはなんですが、埼玉で開催するゴルフを東京湾の若洲ゴルフリンクスに移したらどうでしょう。数の上では相殺したこととなり、従来通りのコンパクト化は守られます。
それでは具体的に、会場に関する施設や環境、アクセスを考えてみましょう。まず宮城県の長沼ボート場の検証です。ここはA級コースですから、国際大会でも充分対応できます。設備としては、問題ないと思います。ただアクセスや宿泊などの環境面が、不安視されてます。けど地元の宮城出身で、去年も付近をドライブした者の意見としては、そんなに悪くないです。
アクセスは東北新幹線の栗駒高原駅で降りて、シャトルバスなどで移動となります。東京から通常2時間半ぐらいかかりますが、オリンピック開催中は、最速列車を臨時停車させれば、2時間ちょっとで着くはずです。会場への道路は、すでにだいぶ整備してあります。宮城県北部の「みやぎ県北高速幹線道路」は、インターチェンジのある立派な道路で、完成すれば栗駒高原駅から会場へは、20分ほどで着くのではないでしょうか。
あと宿泊施設ですが、南三陸町、登米市、大崎市などに分散すれば、なんとかなるでしょう。さらに、大震災で培われたノウハウを利用し、トレーラーハウスや仮設の住宅を集めるプランもありますから。
そもそも宮城県でオリンピックを行うのは、震災復興の意味も込めて、やる意義が大きいのです。近くには南三陸町や気仙沼市もあり、その被災地に応援に行くこともできるでしょう。宮城県が会場なら大義名分があるので、文句を言う人は少ないと思いますが。
続いてなぜか、埼玉県で行われるゴルフ競技の検証です。あれだけコンパクトにやろうと言ってて、ゴルフは埼玉県で行うって理解できません。東京にも、立派なコースがあると思うんです。なんで埼玉の霞が関カントリークラブかというと、ここは以前「カナダカップ」という世界大会の会場になったからです。もちろん歴史も伝統もクオリティも申し分ありません。ただ、背広を着た偉い人たちが、日本を代表するコースで…と、「格式」から入っちゃったから、ここに決まったんじゃないですか?