今の季節が最旬の「里いも」は、インド原産で、いも類の中ではもっとも低カロリー。日本への伝来は稲よりも古く、縄文~弥生時代といわれる。ひとつの親いもから子いも、孫いもと増えていく縁起のよい食材とされ、一般的な土垂のほかに、石川小いも、海老いも、セレベス、ヤツガシラなど品種も多い。
里いもの主成分はでんぷんとたんぱく質。ビタミン、カリウムも多く含む。食物繊維も豊富で、里いも独特のぬめりのもとはガラクタン、ムチンという食物繊維の一種だ。皮の下にうまみがあることと栄養温存のためにも、皮を厚く剥きすぎないのが鉄則だ。
里いもは皮がしっとりしているものは鮮度がよい。泥つきなら間違いなし。硬めのものを選ぶ。保存する場合は泥を落としてからキッチンペーパーに包み、日の当たらない風通しのよいところへ。とはいえ、2~3日が限度。
下ごしらえは、流水で泥とひげをたわしなどで軽くこすって落とし、ざるに上げて乾かす。天地を落とし、下から上に向かって薄く皮を剥き、キッチンペーパーで残った泥をしっかり落とす。水分が加わるとぬめりが出るのと煮崩れしやすくなるので、下ゆでは不要だ。
「里いもは水に触れると途端にヌメヌメしますから、洗ったらきちんと乾かしてから皮を剥いてくださいね。皮がなんといってもおいしいので、焼き里いもなどは、皮つきのまま焼いてそのまま召し上がってみてください。すでに圧倒的な腹もちのよさと皮のうまみが旬の里いもの醍醐味ですから、できるだけシンプルに味わってくださいね」(料理研究家・松田美智子さん)
◆焼き里いものレシピ
【1】里いも4個は下ごしらえをし、皮つきのまま縦半分に切る。
【2】ボウルにオリーブ油大さじ3、塩小さじ1/2、白こしょう少量を合わせる。【1】を入れてよく絡める。
【3】しっかり予熱した魚焼きグリルで5~7分焼き、皮ごといただく。
※女性セブン2016年11月24日号